第10話 At the bottom of the cliff


「おや、あれは・・・」


 地面に大の字に寝転ぶ影を見つけ、『九尾の狐』はそれに近寄る。


「ここで何を?」


「あぁ、あんたかい。まぁ、見ての通りだ。猪笹王に跳ね飛ばされて、結果これだ。猟銃1本じゃあ、不足だね」


 言いつつ起き上がる。


 派手に真面に突進を受けたのに、それを感じさせないくらいピンピンしていた。


「・・・死ぬことはないといえど」


 眉をひそめて彼は言う。


「お体には気を付けて」


「はいはい。ご心配どうも」


 服に付いていた砂埃を払う。


 それから大きく背伸びをして、


「さて、サクラたちを探しに行こうかね」


「こっちの方にいる感じはありますね。何となくですが」


 森の奥へと歩いて行った。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「増えた・・・」


 ジッとしていた少年が、またしても言う。


「また?」


「しかも、今度はもっと強い・・・」


 真っ青な表情で続ける。


 少年を見つつ、私はまた石を1つ追加で重ねる。


 それを見て、少年は私の努力の結晶を蹴飛ばした。


「何すんの!?」


 思わず少年を睨みつけると、


「縁起が悪い。良からぬものでもよって来たらどうする」


 腕を組んで睨み返してくる。


 やがて大きくため息をつくと、


「兎にも角にも、余計なことはしないように」


 言った途端、入り口が破られた。


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