第7話 暗転


「ただいま~」


 夕方、『二口女』が帰ると、


「あら、どうしたの?可愛いじゃない」


 少年は朔良の膝を枕にして眠っている。


 もう数時間はこの状態だ。


「・・・変わってもらえれば嬉しいんですけど」


「え?嫌だよ。晩ご飯の準備があるし」


 『二口女』は土間の片隅のガラクタの山をゴソゴソと弄り、


「じゃあ、狩ってくるよ。楽しみに待っててね」


「はぁ・・・」


 猟銃を持って出て行った。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 暫くして。


 夜が更け、そろそろ空腹も顕在化してきたな、というところで。


「・・・ンン?」


 ようやく少年が目を覚ました。


「・・・おはよう」


 少年は少しボーッとしていたが、やがて完全に意識が覚醒したのか、


「お、お、お、お前!よくもあんなに・・・!」


 朔良から距離を取り、指をさして言ってくる。


「気持ちよかったでしょう?」


「うぅ・・・悔しいほどに・・・」


 少年は俯く。


 そのまま唸っている。


「と、兎に角、もうあんなことしないように!」


 顔を赤らめて言う。


 私は思わず微笑んだ。


「そう言えば、『二口女』さん遅いね」


「狩りに行っているのであろう?そう早く終わるものではないのではないか?」


 少年が言ったところで。


「朔良、狐の子!準備して!出るよ!」


 バタバタと『二口女』が駆け込んできた。


「え?な、なにがあったんですか?」


「猪笹王を怒らせた!ここも無事じゃないと思うから、早く脱出するよ!」


 言って、ハッと壁の方を向いて、


「来る!」


 瞬間、家の壁が吹っ飛んだ。


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