第6話 *筆者はショタコンではありません。


 朝食を終えると、すぐに『二口女』と『九尾の狐』の2人は出かけて行った。


 少し古さの出る木造家屋に1人、取り残される。


 出ていく際、『九尾の狐』は代わりの者を遣わす、と言っていた。


 誰が来るのかなど、全く知らされなかったが、1人でなくなるだけマシだろう。


 要は私は、不安なのだ。


 床に大の字に寝転がって、素直に帰りを待つ。


 夏だというのに、畳の上は以外にも涼しい。


 このままの状態でいれば、眠ってしまいそうで・・・


「寝るな。起きろ」


 その声にハッとして、身を起こす。


 慌てて周囲を確認し、声の主を探す。


 しかし、何処を見ても姿は見えない。


「何処を見ている。こっちを見ろ。下だ」


 言われるがままに視線を移すと、そこには偉そうに腕を組んだ見た目5歳くらいの少年が居た。


「えっと・・・君は・・・?」


「上様の命で遣った者だ。名はない。好きに呼べ」


「はぁ・・・」


 朔良は困惑して、少年を見る。


「何をマジマジ見ている。そんなに見られても困・・・やめろ、撫でるなぁ!」


 よく見たらかわいいではないか。


 愛でないという選択肢はない。


「ハァ・・・ハァ・・・本当に碌なことをしないな、人間は・・・」


 肩で息をする少年を見やって、まだ撫でまわしたい気分になった。


 少年の正面に入り、私の体の前に手を持ってきて、ワキワキと動かす。


 その様子を見ると、少年はビクッと身構えた。


「ごめんね、もう1回」


 そこから暫く、少年の絶叫、笑い声、抵抗する声が、『二口女』の家から響いていた。

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