第33話 王都へ

ソドム群島に向けて何をするべきか。


まずは味方の戦力の把握だ。


アスモデウスは「色欲」の罪。

敵に対する精神攻撃、隠密行動、煙となり瞬時に移動可能。とにかく近接戦闘にも強い。


眷族はサキュバス、インキュバス。

近接戦闘は中クラス。幻惑と誘惑、隠密行動に長ける。


ルシファーは七大悪魔中最強クラス。

宇宙の理を左右できる。隕石を使い攻撃可能。

重力魔法を使う。魔族でありながら聖属性の魔法も使用可能。


眷族はグリフォン。地上戦、空中戦にも対応。

魔物の中では魔力、風魔法、炎魔法においてトップクラス。鋭い爪、嘴での近接戦闘にも特化している。


ステータスにおいて遜色はないな。


こちらにはクリス、エリー、ユアン、僕。

さらにはゴーレム達、骸骨兵、ユグドラシル。

そして嬉しい誤算があった。ルシファーの召喚封印が成功した時に重力魔法の刻印を手に入れることができたのだ。さらにアスモデウスの際は幻影魔法だ。2つとも即彫り込み完了。


重力魔法に関しては重くすることと軽くすることが可能。反重力作用をうまくコントロールすれば浮遊もできる。

幻影魔法は分身や幻影を作り出したり自分たちの姿を消すこともできる。

うん、ますます自分がバケモノ化してきた気がする。


しかし限られた人数に変わりはない。


消耗戦は避けるべきだ。

敵側の総戦力がまだ把握しきれていない。

まずは相手を知らなければ。


ルシファーによれば約100年ほど前にバルマスが復活、七大悪魔の内六人を懐柔、制圧。

ルシファーのみ拒絶。ルシファーは他の悪魔たちとの交流がその頃からはないに等しいらしい。

アスモデウスですらも全体的には把握できてはいない。


情報が欲しい。


一旦ギルド長に相談するしか無いか。


………………


また一匹の蜘蛛がある悪魔との密談中のマモンの元へ。


『ルシファーがあの彫師に?姿を見せて無いと思えば余計な事をしているな。どうする、リヴァイアサン?』


密談相手の蛇のような鱗を持つ女の悪魔に問いかける。

『私に聞くのかい?そうだね、確かアイツらの中に水属性のお嬢ちゃんがいたわね。使えると思うのだけど。』


『なるほど、あなたらしい。』


………………


ギルド長の意見を聞くために久しぶりに街へ。


ギルドに行く前にエリーの折れてしまった剣を新調した。

「ジン、もう一度刻印お願い出来る?」


「もちろん。氷魔法が手に入ったから今度はそっちを入れるよ!」


エリーと僕の話を聞いていたユアンが、

「ジン、頼みがある。」と言う。


ここ数日なにかを一生懸命作ってると思ったら、魔導車のルーフについている魔導砲を持ち運び出来るサイズで新たに作成したらしい。

その弾倉に各種の刻印をお願いされた。


「あの威力をユアンが撃つの?吹っ飛ばないか?」


「大丈夫、撃つ際にアンカーが地面に刺さる仕様だ。でも持ち運び重たいから、刻印化してユアンに彫って欲しい。」


「なるほど、アンカーか!賢いな、でも刻印は痛いぞ、大丈夫か?」


「任せろ。ユアン強い。」


これで三人とも刻印が彫られてることになるのか。

前の世界だったらガラの悪い集団みたいだな(笑)


一通りの作業を終えやっとギルドへ。


「いよいよバケモノじみてきたのう。」


「いや、はい、、。」


そうですよね、ギルド長。サーバスさんも苦笑いしてるし。


「その魔王たちは今もジンの中におるのか?」


「はい、今出しますよ。」


刻印から2人を顕現させる。


『初めまして、ギルド長殿。ルシファーです。』

『俺がアスモデウスだ。ギルド長も後ろのデカいのもなかなかやりそうだな。』


サーバスさんが少し身構える。

「サーバスさん、大丈夫ですよ。彼らは今はもう味方です。」


「しかしジンさん、さすがに私でもこの方達が異質な強さなのはわかります。魔王と呼ばれる者たちにこんな形で対面するとは思ってなかったですよ。」


「さすが魔王じゃ。太古の時代から我々はその名を恐れてきたからのう。してルシファー殿、相手方の狙いと戦力はいかほどかのう?」


『バルマスの狙い、それは魔界と人界の融合、カオス界の実現です。』


「やはりそうか。こちらでも古い文献で調査したのじゃが、バルマスが「ヒト」であった頃、その行いに心を奪われ、「ヒトならざるもの」のチカラを借りたと。死んだと思っていたがそうではなかったのじゃな。」


『はい、しかし正確には死んでいたのです。【死】という休眠状態から目覚めさせた者がいる。今はバルマスの参謀、ズーラ。魔界の呪術王と呼ばれていた者です。』


「呪術王ズーラ?そいつが元凶かの。」


『奴は強くは無いのですが有智高才で呪術師。敵の頭脳と思ってください。』


アスモデウスがため息混じりに言う。

『俺が最後までバルマスに従うのを拒んだのはあのジジイが気に入らねえからだ。テメエがナンバー2みてえな態度でよ。』


『バルマスが強いのはさることながら、奴に仕える残りの魔王たちが強いのも問題です。まずは太古に私が封印した、ソドム群島に眠る龍族四天王を解放しなければなりません。』


「なんと、そうじゃったのか。龍族四天王。その昔、魔族によって殺されたと聞いておったが。封印されてたのじゃな。しかしソドム群島へ行くには王都にて王様の許しが必要になるのう。」


王都、ヴァンツァール大陸の王。とにかく行くしか無い。

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