第30話 七大悪魔と罪

1匹の蜘蛛がある悪魔の耳元へよじ登る。


『アスモデウスめ。負けたのか。』


七大悪魔の1人、マモンはとても欲深い。

そんな悪魔がゴブリン1000匹を貸し出したのだ。借りたまま負けたアスモデウスに怒りを表さない訳がない。そしてその怒りはその結果をもたらしたものへと向けられる。


『私は強欲。すべては私のモノでなければならない。』


………………

帰りの魔導車の中でエリーが話しだす。

「かなりのレベルアップだったわね。」 


「そんなに?」


「ジンは気絶してたものね。」


体力や、魔力は回復していたが、神樹の加護のおかげだと思っていた。レベルアップの効果もあったんだな。


[[天啓さん、ゴブリンの経験値でレベルアップしたってことなのかな?]]


[はい、すべてゴブリンの経験値です。アスモデウスに関しては「封印」の為、経験値の獲得はありません。]


[[あいつの副作用はどうにかならないかな?]]


[分析の結果、対応出来るものはすべて完了しています。「神樹の加護」「祝福の契」の効果で副作用を60%まで下げることに成功しました。

更に聖龍クリスタ様の影響で10%まで押さえ込まれています。]


クリスの影響だって?!さすが聖龍。

「クリス、ありがとうなー。」


「キューン!」


【おい、おい。聖龍なのかよ、そいつ。】


[な、アスモデウス?!勝手に話しかけてくるなよ。]


【まあ、そう言うなよ。さっきの天啓ちゃんは俺とは話してくれねえしよ。】


[天啓”さん”な!天啓さんに話しかけてんじゃねえよ!]


【ふははは!やっぱり面白いなあ、小僧。】


[お前はなんなんだよ、本当に。]


【まあそう言うなよ、まさか俺の「色欲」の呪いがこんなに効かなかったのは小僧が初めてだからよ。】


[そりゃどうもありがとう!]



ふんっ、めんどくさいヤツだな。


エリーが首を傾げている。

「どうしたの?ジン。」


「いや、アスモデウスが話しかけてきたんだ。」


「え、あいつと話せるの??」


「なんか俺の中で普通に話しかけてくるんだよ。」


「なんだか凄いわね、、、」


「そういえば、コイツ七大悪魔とか、マモンがどうとかいってたな。」


「確か七大悪魔って聞いたことあるわね。」


「ちょっと待ってて。」


[[天啓さん、七大悪魔について教えてほしい。]]


[はい、ソドム群島がまだ大陸だった頃の情報ですが、7人の悪魔が各眷族を従え龍族と争っていたようです。

傲慢のルシファー   眷族 グリフォン

憤怒のサタン     眷族 オーガ 

嫉妬のリヴァイアサン 眷族 マーメイド

怠惰のベルフェゴール 眷族 フェニックス

強欲のマモン     眷族 ゴブリン

暴食のベルゼブブ   眷族 ケルベロス

色欲のアスモデウス  眷族 サキュバス、インキュバス


からなります。全ての魔族の頂点に立つもの達です。]


とんでもない奴らばかりだな。

エリーに天啓さんから聞いた情報を話す。


「あれ?確かグリフォンとかマーメイドって神獣とか崇めたりしてる地域もあったけど。」


「それはクリスタ達と邪龍みたいなものじゃないかな?その中でも善と悪があるのかもしれないよ。」

 

「なるほど。そうかもしれないわね。」


そういえば、サキュバスとインキュバス。アスモデウスが「使うことを許そう」とか言ってたけど、どうやって使うんだ?まあ、悪魔に手を借りるのは些か気が向かないけど。


【なんだよ、使いたいのか?】


[結構です。]


【連れねえなぁ。】


無視無視。


【ん?気をつけろよ、どうも見られてる気がするぜ。】


[何にだよ?]


【借金取りのマモンだよ。ゴブリンの借りがあるからなぁ。そして俺はお前の中、すなわち債務者はお前ということだろ?はっはっはっ!】


[なんだって?]


【アイツはしつこいからな、、まあ近づいてきたら教えてやるよ。】


こいつ、最低だな。まあ教えてくれるだけマシか。

天啓さんはキャパシティがどうとか言ってたから強制刻印化は最後の手段として考えてはいけないのだろう。

なんとかしないとなあ。

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