第28話 対多数戦

エリーが呆れた顔で言う。

「毎回毎回、驚かさないと会えないの?」


ユアンはデレてる。

「かわいい。」


「キューン」


「えーと、昨夜産まれた「クリス」です。。」


僕の肩に乗り紹介もすんだクリスは早くも2人に慣れたようだ。


「とりあえず、ギルドへ行こうか?」



3人と1匹でギルドへ到着した。

ロビーへ入ると予想以上にクリスに注目された。


(あれってドラゴン?!)

(彫師ってテイムもできるの?)

あーだのこーだの、、冒険者たちがざわつく。

まあ、ドラゴンですものね。。


こんな時は何食わぬ顔で受付の猫耳さんまで行くのが得策だ。


猫耳さんも驚いてたけど。

「ギルド長居ます?」


「はい、、少しお待ちください!」


毎度のことだが、すぐに2階の応接間へ通された。


「ほっほっほ、またメンバーが増えたようじゃの。」

笑いながらギルド長が出迎える。


そしてエルフの里での報告とバルマスの影を伝えた。


「なるほどのう、やはり関係しておったか。」


「はい、聖龍クリスタの証言なので間違い無いかと思います。」


「聖龍クリスタは太古から名のある龍の王族。その「クリス」も幼いながら風格を感じるしのう。」


「すこし情報収集をしながら各地の依頼をこなして行こうと思います。」


「そうじゃな。ただし敵さんもそろそろお主たちに気づいておるかもしれん。慎重にの。こちらでも調べ続けてみるわい。」


「はい、わかりました、お願いします。」


「そういえばあちらの議長からの提案で正式な友好都市の条約を結びたいとの申し出があったぞ。報酬もたんまりと用意してくれておったし、よほど気に入られたようじゃの。」


「危うく石像まで建てられるとこでしたよ。」


「建ててもらわんかったのか、勿体ないのう。」と笑うギルド長。


勘弁してくださいよ。。。



応接間を後にし、掲示板の前まできた。

「どれにしようか?」


「これから先に備えて基礎レベルの底上げもしたいわね。これなんかどう?」


エリーの指差す先には「ゴブリンの里壊滅依頼」の紙があった。


「数を倒すのが一番でしょ?」


「でも、依頼ランク4〜5ってかいてあるよ?」


「いや、誰が言ってんのよ?ジンのクラスに合わせるならもっと上でもいいくらいよ。」


「そうかなぁ?」


ユアンが一言。

「これで、決まり。」


「キューン」

なんでクリスまでノリノリなの?



………………


次の日、僕以外は満場一致で依頼に出発した。



ゴブリンの集落が急に発見されたのは僕がこの世界に落とされた?森から更に先、森を超えた場所、つまりあの街と森を挟んで反対側らしい。まだできたばかりとの話だがゴブリンの数は相当いるとのこと。

そんな危ない所の近くに転移させるとか女神どうしてくれるつもりよ?

たまたま逆側に出たから良かったようなものの。転移直後にいきなり詰むところだったね。


しかし最近になって急に数が増えたってそんなことあるのか?まあ、ゴブリンの繁殖力はすごいらしいけど。


森を超え少し走ると開けた場所にでた。明らかに雑だけど集落らしきものも見える。


目を凝らすと相当数の緑色の小柄な奴らがいる。

魔導車を収納し、草陰から様子を伺う。


よし、行くか。

目で合図をしまずはユアンが左側へ進み、エリーは右側へ。2人とも位置についた。


僕は10体ほどのスケルトンを出し、正面から突撃させた。


門番をしていたゴブリンが数匹、声を上げる。


「&‼︎∬※∀!!」


集落の中からうじゃうじゃとゴブリンの群れが現れた。


「結構な数だなぁ。」


門から飛び出した集団にユアンの弾幕とエリーの連射魔法が浴びせられた。


ズダドドドッ!!


次々と倒されるゴブリンだが後から後から出てくる。

ユアンはそのまま撃ち続け、エリーは剣を抜き、群れの中へ飛び込んで行った。エリーの代わりに僕は風魔法で真空の刃を飛ばす。


それにしても多い。


どこにこんなに居たんだ?


そろそろ2人とも疲れたかな?よし。


「2人とも下がって!」


うなづき後退する2人を確認して、魔法発動。


「それじゃ、コイツらに任せよう!」

大きな魔法陣が現れて100体ほどのストーンゴーレムが現れた。


「グォォォォゥ!」


一体が3メートルくらいあるゴーレムが腕を振り回す度にゴブリンが10体ほど弾け飛び散る様はまさにカオスだな。


何体ほど倒しただろう。そこら辺に緑の肉塊と血液が飛び散り、凄惨なことになった。


「うわぁ、結構気持ち悪いなぁ。」


とりあえずこれで依頼達成かな?

集落を見渡すと黒い煙がモクモクと立ち上る。

火でも出たのか?

しかしそれが煙ではないことにすぐに気づいた。

背筋にゾクっとする感じ。


ヤバい。なにか来る。



『なかなか残酷で素晴らしいではないか?』


声の主は煙の中からゆっくりと現れた。


ルビーのような紅い角を持つ悪魔が。

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