第18話 魔導装甲車
「今持ってきてやるぞ」
ユアンがトトトトっと駆けていった。
ヴゥゥゥン
まさに機械に命の宿る音がした。
商会の奥からグレーの金属質な魔導車が姿を現した。
まさに前の世界で見た軍用の四駆装甲車のような頑丈そうな車体だ。
「おぉ。こりゃすごい。」
運転席のルーフがガチャりと空いた。
「どうだ!カッコいいだろ?」
と車体に似つかわしくないピンク髪の少女が自信ありげに顔を出す。
ルーフの上には左右に砲身が2門付いている。
「今は弾は入ってないけどな!」
とユアン。
「発射は可能なのか?」
「もちろん!弾も買うか?」
「それなら大丈夫だ!考えがある。」
なかなか素晴らしい魔導車だ。男の子として心が踊らない訳がない。
「ありがとう、アンドレさん。とても気に入ったよ。」
「こちらこそ、お役に立てて光栄です。ジン様のお名前はもう少し掲げておいてもよろしいでしょうか?」
「恥ずかしいけど構わないですよ(照)」
「ありがたきお言葉です」
………………
宿の隣の空き地に魔導車を停めさせてもらい、買い出しも終わらせた。
魔導車の内装や装備を整えるためだ。魔導車の中は思ってたよりも広く、かなりの積載も期待できる。遠方の依頼もこれで可能だろう。
そして試してみたい事が二つあったのだ。
一つ目はルーフの砲身だ。
砲身には車内に弾倉があり、本来はココに弾丸を装填する。だが僕の刻印魔法を使えばその弾倉に各魔法を刻印できる。魔力さえ流せば弾数はほぼ無限なのだ。仕込みは済んだので明日にも発射実験してみたい。
そして二つ目。
コレは天啓さんに聞いてみる。
[[天啓さん、この魔導車を刻印にする事は可能かなぁ?]]
[はい、可能です。しかし生命体の刻印化は今のレベルでは不可能なので搭乗者がいる場合の刻印化はできません。]
なるほど、モノとしてならば可能なんだな。
しかしあの言い方だとレベルが上がれば生き物も可能なのかな?
魔導車は大きいし、置き場所や隠したい時には刻印化しておけるほうがありがたい。
魔導車に両手を当て頭の中で唱える。
【刻印化】
シュンっと魔導車の大きな影が消えた。
部屋に戻り、左の腕に【魔導車の文様】を彫った。車輪のような文様だ。
勢いでレイピアも刻印化し、こちらは右手の手のひらへ彫り込んだ。文様はそのままレイピアの形だ。
ここまでやってみて気がついたが、物質の刻印はその数に比例していて、使うとリストから消えるが、魔法系の刻印は幾つでも彫れるっぽい。魔法の刻印は使い方次第でかなりの強さだろう。
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