第17話 御用達

「うーん、馬車ですか?魔導車はいかがでしょう?」


「魔導車?」

なんじゃそりゃ。こういう時は、、、

[[天啓さーん、ココは魔導車の方がいいのかなぁ]]


[ジン様の魔力量でしたら使用魔力は微々たるものと思われます。馬車に比べ、馬の世話もいりません。操作法もジン様の以前の世界の自動車なるものとほぼ変わりません。]


まあ、ペーパードライバーだがレースゲームのスキルはあっちの世界でもそこそこだからなんとかなるだろう。


「お幾らになります?」


「機能や、装甲にもよりますがジン様のお助けになるのなら最上級のものでも、、、5,000,000ガルでご提供させていただきます。」


ご、ごひゃくまんガル、、、ギルドからの報酬が丁度そのくらいだったんだよなー。。


「ワタシも半分くらいなら出すわよ。」


「いや、大丈夫。払えるよ。それならエリーはこの魔導車でいつでも依頼に行けるように中に積むものをお願いするよ。」


「わかったわ、快適な魔導車にしましょ。」


「魔導車、お願いします。」


その言葉にアンドレは胸に手を当て深々とお辞儀しながら、「ありがとうございます。明日にはご用意致します。」と感激していた。


その姿を見たエリーは

「なんか胡散臭いのよねー。」とぼやいていた。


……………………


翌日、アンドレ商会へ魔導車の受け取りに出向いた。

既に従業員達がゾロゾロと並び何かの式典かと思うほどに華々しく商会の建物が飾られていた。門の上部には【英雄ジン様御用達のアンドレ商会】と言う横断幕が、、、


「ほらね、タダでまけてくれるわけないと思ってたわ」

とエリーは呆れていた。


「お待ちいたしておりました。」

燕尾服に蝶ネクタイのアンドレが出迎える。

横にはバール爺、とピンク髪の少女がいる。


バール爺が一歩前に出てお辞儀をした。

「ジン様、エリーお嬢様、この子をお供に連れて行ってはもらえませぬだろうか?この子はワシの孫でユアンと申します。まだまだ未熟ですがコレでも「魔械師」の天賦を持っております。

魔導車の扱いはワシよりも飲み込みが早く操縦もできます。」


なんと隔世遺伝だろうか?

「良いのか?バール爺?」


「まだまだ一年足らずの魔械師ですがお役に立てるほどには教え込んでおります。ほら、挨拶をしなさい。」


「ユアンだ!ジン、エリー、任せろ!」


「コラ!礼節は大切だと言うたじゃろうが!

すみませんなぁ。」


「いえいえ、よろしくな、ユアン!」


「おう、任せろ!」


さあ、いよいよ魔導車のお披露目だ。

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