第11話 白い錫杖と怒りの炎
レベルの更新を告げる天啓さんの声を聞いた瞬間、体がわずかに発光した。力が漲るのを感じた。
[腐食]がどうとか言ってたな?
「ちょっと、なによこのチカラは、、普通じゃないわね、、それにこんな魔法ってっっ、、、
ドスッ
えっ、、」
エリーからの苦情を受けていた最中に、白く尖ったものがエリーの腹部を貫いた。
「エリー?、、エリー!!」
ズルゥっと白い何かが引き抜かれるとエリーはその場に倒れ込んだ。
目線の先には骨で作られたような錫杖が浮かんでいた。
スーっと洞窟の入り口の方へ引寄せられていく錫杖。
『おやおや、もう1匹虫がいましたか。』
そこにはボロボロのローブに王冠を身につけ、
所々に骨が剥き出しになりながらも瘴気を纏うゾンビの王たるものが立っていた。
「貴様、、誰だ!」
『口を慎め、小虫が。もう少しで計画が完遂しようとしておったものを、、、。またやり直しではないか。我が名はワイトキング。死者を司る王だ。崇めろ、そして死ね。』
ワイトキングの指先から瘴気の渦がこちらへ押し寄せる。
咄嗟に風魔法を発動し瘴気ごと押し返しながら砂埃を巻き上げる。
目眩しが効いてるうちにエリーに回復魔法を施す。
「ジ、、ン。ゴボッ、、ウゥ、、」
「喋らなくていい!」
止血はできたが今はこれ以上時間がない。
「待ってて。」
そう言い残して僕はレイピアを抜刀した。
その瞬間レイピアには渦巻くような炎がまとわれた。刀身の根元には炎の刻印。昨夜から仕込んでおいたものだ。
「覚悟しろよ。ボロ雑巾が。」
ブーツにも魔力を流す。ブーツに絆された風魔法の刻印が光る。
ホバークラフトのようにブーツから風魔法が発動する。
炎の矢の如く砂埃の薄くなった洞窟前のワイトキング目掛けて突進した。
『なんだと?!ぐぅ!!おのれー!』
咄嗟にワイトキングは足元に瘴気を流した。
ゾロゾロゾロ、、、、
刃が届いたと思いきや目の前には大量のスケルトンが次々と湧き上がり骨の壁が築かれていた。
炎の刃が骨の壁と拮抗している。
迷ってる暇はない。
全開だ。
「ゔおおおおおおお!」
骨の壁が砕け散るのと同時にその先からワイトキングの赤黒い目が現れた。
そしてワイトキングの眉間に燃えたぎるレイピアが突き刺さった。
『ぎぃいぃやぁぁぁぁーー!バルマスさまぁぁー!』
燃え盛る王はそのまま灰燼となり後には王冠が残った。
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