第10話 グールとグールロード
ここは眼前に町を見下ろす丘の上の洞窟。
グールの群れのそのまた奥に、赤黒い目の黒い影が泉から湧く魔力を吸収している。
『そろそろ兵隊も揃う。あのお方に認めて頂くためにこの魔力を使いグールを生み出してきた。あの町を落とし侵略の拠点「ゲート」を開く為に。』
依頼実行当日、エリーと待ち合わせていた北門へ。
「おはようございます。エリーさん。」
「おはよう。エリーでいいわ、ジン」
「じゃあ、エリー、よろしく。」
昨日武器の調達に出かけ、刺突剣(レイピア)を購入した。まずは軽くて扱いやすい物で慣れて行こう。
「まずは私が斬り込むから貴方は後方でバックアップして。」
「了解。」
どうやらサーバスさんから修練場での話を聞いてきたようで、ものすごい勢いでライバル視されているようだ。
まあ今日も美しい「先輩」に従っておこう。
グールに気づかれないよう、洞窟に続く道を少し外れた藪の中を慎重に進んで行く。
「まって!」
前を歩くエリーが不意に手をかざし静止を促した。
「そんな、、、報告の数じゃない。多すぎるわ。」
そこには100を超えるグールが徘徊していた。
「これは、、一度引き返して立て直しますか?」
「いえ、大丈夫よ。私が斬り開く。ジンはわたしの討ち漏らしを確実に倒して。」
「大丈夫ですか?」
「行くわよ!【氷雪の精霊よ、我が剣に宿り斬撃で命を凍らせよ!アイスエッジ!】」
詠唱と同時にエリーの直刀に氷の刃が顕現する。
氷の刃が出来上がると同時にエリーがグールの群れに飛び出した。
『グァッ!!ヴー、、、」ドサッ。
閃光一閃、斜めに斬り上げたエリーの先で腰から真っ二つに切られたグールの上半身が地に落ちた。
速い。
一斉に殺気立つ群れを1匹、また1匹と斬り倒していくエリー。
僕は両脇に分かれていく群れに狙いを定めて炎魔法で撃ち抜いていく。
イメージは散弾銃。
魔法陣の中心に集まろうとする炎のエレメントが中心に集まる前に放出するように調整する。
するとある程度の放射角を描きながら炎弾が敵を撃ち抜く。名付けるならファイアショットバレットといったところだろうか?
ある程度のグールを倒したところで洞窟から一回り大きな影が現れた。
「なっ、、グールロード!?」
気づいたエリーが後ろへ飛び僕の横まで来た。
「なんですか?アイツは?」
「グールの上位種だ。アイツのゲロに気をつけて。腐食効果で溶けるよ。」
よく見るとエリーはかなり消耗している。
氷の刃が溶けかけていた。
エリーの前に出て僕は構えた。
「エリー、下がってて。少し蛇口を開けるから。」
「え?蛇口??」
今度は魔法陣の中心にエレメントが集まるのを待つ。
そして収束後に圧縮。
群れの中心に向けて放つ。
着弾と同時に爆裂!
眩い光と炎の柱が爆音と共に群れとグールロードをも吹き飛ばした。
[熟練度を獲得しました。「刻印魔術Lv.2」「刻印理解度Lv.2」になりました。「腐食」の刻印を獲得しました。]
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