第4話 美味い飯と水源地
うん、そんな気はしてた。
そりゃそうですよ。
刺青ですもの。痛い。
そういえば前の世界でサトちゃんが言ってたよ。あ、親友ね。
「刺青って神経が集中してるところと末端はとてつもなく痛いんだよ、刺すからねー。」
と。
入れ終わってホッとしたらますますお腹すいてきた。
受付の「みんなのお母さん」に美味しいお店をリサーチして宿屋を出る。
振り返ると「マイグラトリーバード」という看板。ちゃんと帰って来れるように宿の名前をメモしとこう。
いざ繁華街へ。
お母さん曰く、街の中央にはギルドと教会があってそれを囲むように繁華街があるという。
明日はギルドにも顔を出してみたい。
お金に余裕はあるものの、なにかしておかないと落ち着かないのも事実だし。
「ここか。」
ウィッチズサパー 魔女の晩餐。
中々勇気がいる名前だよなー。。。
カランカランと入り口のベルを鳴らしながら
恐る恐る中へ。
「いらっしゃい。お一人?こちらでいいかしら?」
と美人というより妖艶な店主?おかみさん?
がカウンターから身を乗り出してそのカウンターの端の席へ招き入れてくれた。
ステンドグラスのような照明が所々にある、とても落ち着く雰囲気だ。
「ウチは初めてよね?」
「はい、えーとマイグラトリーバードの受付の方にここの料理が最高だと聞いて。」
「あー、ジョイおばさまね。」
じゃあ、ウチの名物料理でいいわねと妖艶おかみはキッチンへ消えていった。
少し待つと香ばしいような香りがしてきた。
「はい、お待たせしました。」
出てきたのはゴロっとした肉が入ったビーフシチューのような料理だ。
涎を抑えつつ匙を入れ一口。
うまい。
横に添えられたカリッと焼いてあるパンを左手に右手にはスプーン。
あっという間にたいらげた。
「そんなに美味しそうに食べてくれるなんて嬉しいわ」
「いやほんとに美味しいです」
飯の美味い世界でよかった。この世界に来てから少し不安だったのだ。
「本当はもう少し美味しいのよ。」
その言葉を聞いてカウンターの逆サイドの冒険者らしい男が口を開いた。
「最近はグール共が女神の水源地に出てるからなぁ』
妖艶女将も
「あのお水がないと本領発揮できないわ、もう!」
とのこと。どうやら僕の歩いてきた道から街を挟んで反対側、少し小高い丘がありその先の洞窟に、「女神の水源地」とやらがあるらしい。
毎朝妖艶女将はそこまで水を汲みにいっていたのだが、ここ数日の内にグールの棲家になってしまい困っていると。
冒険者っぽい男は続ける。
「アイツらは腐食属性があるから衛兵たちでも戦うのを躊躇いがちなんだ。」
武器がぼろぼろになるらしい。
「有効な方法はないんですか?」
「まあ、炎系の魔法が使えれば一掃できるんだが、魔法が使える冒険者が遠征中でな。」
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