同性愛ものって、えぐい、受け付けないという方、いらっしゃると思います。
ですがこちらには、そういったえぐみや毒気はありません。
何重にも織り交ぜられた綺麗な描写で、ただそこにいる二人の心情にだけ引き込んでくれます。
冷えた体を温められるような、尊みだけが残っている。でもそれは、男女恋愛や百合では簡単に表現できないものです。
小さい頃からの憧れや敬意、大事なものがそのまま恋愛に変わるような、季節の移り変わりのような自然な関係と心が、この短い文章の中で味わえます。
恋愛物といえばあの手この手で揺さぶりをかけてくるものですが、展開に起伏はあるのに安心感すらある、とても癒される物語です。
是非に、ご一読くださいませ。