第2話  特撮ヒーロー的な精神

「あの、あなたは一体」


あたしは仮面をつけたヒーロースーツマンに聞いた。彼は言う。


「…な、名乗るほどの者じゃないよ」


ありがちなセリフ……

でも、


……


そのヒーロー的精神、好き!


そもそもあたしはヒーローに憧れているからね!

こうやって姿を隠し、人知れず誰かを助けるなんて……

最高じゃん!


「本当の名前なくても!ヒーローとしての名前はあるのでは!?」


あたしは興奮しながら聞いた。

ヒーローは少したじたじになりながら、


「いや、特に決めてないけど……」

「そうなの?もったいない!ならあたしが考える!ジャスティマン!決定だよ!」

「え、」


ジャスティマン……

単純ながらシンプルでカッコいい。あたしはセンスあるなあ。

※センスのあるなしは個人の判断に委ねます。


「あたしにもお仕事手伝わせてください!ジャスティウーマンとして働きますよ!」


自分がヒーローになった場合の名前も決めたよ!

いやあやる気満々だよ!


あんな怪物が世間に溢れてるなら、ヒーローが必要だからね!


「あのな、…危ないんだぞ?それにああいう連中にはただの人間の力だと……」


そっか、あたしが力使えると知らないんだもんね。

なら、


「はい。」


あたしは小石を拾う。それに魔力を込める。

すると、その魔力に耐えきれず、石は粉のようになって消滅した。


ジャスティマンは、顔見えないけど、多分驚いてる。


「魔力を……扱えるのか?」

「うん」

「天界人?」


?聞いたことないワードだ。


「なにそれ?」

「つまり天界関係者じゃないわけか……。どうやってその力を?」

「どうやって?うーんなんか元々魔力の高い家系らしくてあたしの家。それで喧嘩の時に……」

「家系?君の名前は?」


そういえば自己紹介もまだだった。


「姫宮柚葉、中学三年生でーす」

「…姫宮家か。後で天界に調べてもらうか」

「で、どうなのよ?」

「どうって?」

「だ、か、ら、お仕事!手伝わせてってこと!」


魔力扱えるんだからなんの問題もないでしょ。


そう思ってたけど……


「ダメだよ」


まさかのお断り!?


「なんでよ!あたし戦えるんだよ!」

「あのね、中学生が無理して戦う事はない。さっきの妖魔や魔族は力があればどうにかできるほど、簡単な相手じゃないんだよ」


あたしの力、なめてるな多分。

なら、認めさせてやるよ。


あたしに宿るは地属性の魔力。

……そこ!地味とか思ったろ!

地属性を舐めちゃいけないんだよ!


大地から魔力を抽出したりできたり!

魔力のこもった石や鉄を生成できたり!

一握りらしいけど、重力を操れるとかいう話もあるし、あたしは無理だけどね!


とにかく!……不意打ち喰らわせてやる!


あたしはノーモーションで岩石を作り、一瞬で放つ!


この間1秒もないよ!岩の大きさはざっと3メートルはあるし、避けるのだってそう簡単には……


「なんの真似だ」


え?

ジャスティマンに当たる前に、岩が一瞬で粉々になった!?

ホントにただの粉になってる……破片なんてないくらい。


ジャスティマンの周囲には緑色の風の刃?みたいなものが漂ってる……

まさかこの刃で粉々に切り刻んだって事?

おいおい……どれだけ切り刻めば粉になるのよ。信じられないよ。


風……。木属性魔力か。

あたしの地属性と相性最悪じゃんか。

そりゃ負けるよ……


「いきなり攻撃なんてするな……。とっさの反撃で、君を傷つけてしまうかもしれなかったぞ」

「ごめん……なさい」

「わかればいいが……」


その時、風の刃のせいか、はたまたあたし岩のせいかわからないけど……


突然ピシッと仮面にヒビが入り、ジャスティマンの素顔があらわになった!


………


断っておくけど、あたしはイケメンとかに興味持ったことはない。

同級生はアイドルとかにキャーキャー言ってるけど、ハマったこともないし。

イケメンとかカワイイとかそういうものは興味ないの。


……


だけど言わせて。


ジャスティマンの素顔、

カッコよすぎーーーーーー!!


なになに!?イケメンなんてレベルじゃないっ!アイドル顔負け!?綺麗すぎる!こんな顔のいい人初めて見た!

あ~語彙力ない!でもカッコよすぎるとしか!言えない!


あまりの美貌にあたしは見とれてしまっていた……


「しまった、顔バレしたか……」

「顔バレ……したなら、名前……聞いても?」


見とれて、顔を赤くしながらあたしは聞いた。ジャスティマンは答える。


「……美波神邏みなみしんら


つづく。


次回、美波神邏さんの精神。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る