第20話 新たなる訪問者

         4


 俺は榊が怒鳴っていた相手に、これまでのことを話した。ただし推野 瑛真のことについては伏せておいた。


榊の顔がかなり気まずそうだったのだ。多分相手の男と何かあったのだろう。


 経緯を話すと、意外にも男はすんなりと受け入れた。


 「あ~うん、なんとなくわかったよ。それでここにいるわけだ」


 「まあ、そうなりますね」


 「……」


 榊は口を開かない。


 「とりあえず、自己紹介がまだだったね。俺の名前は 榊 さかき のぼる だ。よろしく~あっちなみに、希は俺の妹ね」


 「へぇ~………えっ」


 「はぁ……」


 まさか榊に兄がいるとは……


 榊は嫌そうな顔をしていた。


 「それで、何の用?」


 「あっそうそう!そうだったね」


 「いいから早くして。」


 「相変わらずだなぁ……早速本題だ。お前ら、神化世界に入った時当事者とは別の何かがいたこと、あるか?」


 「……!いや、そんなまさか…?」


 「そもそも登さん、神化世界知ってるんですね」


 そうだ。俺はずっと疑問に思っていた。なんで知ってるんだ?


 「実は、俺も独自で研究してるんだ。僕自身も神化世界の経験者だからね」


 「……」

 

 「だから正直希よりも神化世界については詳しいと思うよ。」


 「そう、ですか……」


 「話が逸れたね。それで、神化世界で部外者を見なかったか?」


 見た。あの謎の男だ。


 「見ました。謎の男……」


 「そいつらは、神殺シ《かみごろし》と呼ばれている連中の一部だ」


 「かみ、ごろし?」


 「……厄介ね」


 「君は知らないようだね。ザックリ説明すると、神擬キと観測者を両方、神化世界で殺害してから出てきた奴らの総称だ。」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る