第8話 クランの都合
前述の通りクランは
彼は港町オーベルで個人で付与魔術士をしていた人間で、セントリオ家にもイストラント家にも全く関係がない。しかしその商売上ドーグとの顔なじみであった。
ドーグの兄貴分が殺された事件は、港町オーベル全体を恐怖に陥れる大抗争へと発展した。
しかしそんな中でも
──ああもう、どうすりゃいいんだ!
クランは
──クラン、いい話があるぜ
家にやってきたドーグが気楽にそう言った。何がいい話だ!お前が暴れまくるから俺までこんな危険な目にあってるんだろうが!
とはいえクランも港町オーベルの事情を知っててこの街に移り住んで商売をしているのだから全くの潔白とも言い難い。それでもさすがに限度はあるというのはクランの言い分だが、もはやそんな事情を釈明する場所はどこにもなかった。
その日の夜、二人は密かに港町オーベルを抜け出してノーデル村へ旅立った。その時点では正直なところ港町オーベルから逃げ出すという意識のほうが強く、まさかこんな奇妙で危険な冒険に駆り出されるとは思ってもいなかった。
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