第2話 力尽きた戦士
"戦士"クランは地面に倒れていた。ぜいぜいと呼吸が荒い。その鎧はひしゃげ、幾つかの部位は吹っ飛び、兜も吹き飛ばされ、頭からも血が流れていた。
「……クラン、大丈夫か?」
ドーグは近づいてクランに声をかけた。
「……ドーグ……」
クランは震える手で大剣をドーグに差し出した。
「……もうダメだ……頼む……」
クランの痙攣が激しくなる。畜生!
「……アラン様」
キリオが冷静な目でドーグを見つめた。ハイハイわかったよ。
ドーグは大剣を受け取り、それを背中に背負い、クランも抱きかかえて起こしてそのまま肩を担いだ。別に介錯とかそういう話じゃない。"戦士"クランは戦士ではなく、本業は
そして強化の術の効果が切れれば普通の人間より弱くなる。いやクランは普段から普通の人間より力がないのでもう全く動けなくなる。ので重い大剣はドーグが代わりに背負ってやらなくてはならない。ついでに肩も貸してやっているだけだ。
ドーグはそれほど体力に優れるわけではないが、それでも一行の中では筋力体力共にNo.2である。そしてNo.1は他の理由によりそういう手助けはしない。ああもう、本当にしょうがねえ話だなあもう。
「あーあーもう、高かったのに」
キリオは散乱したクランの鎧の破片を見てそう言った。その鎧は見た目はゴツいが中抜きして軽量化してある。ので防御力など皆無なのにその分制作費が高いのだ。なのでもったいないと思いつつも、それはもうただの金属製のゴミなので拾い集めたりはしない。一行は隊列を整えて先を急ぐのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます