第11話  閑話

 賢者様は、ワタシの部屋でしばし寛いでいた。


「剣聖が、戻られるまでここに居られますか?」


 賢者様は頷かれると、シンヴァが部屋に結界を張った。

 相変わらず、見事な腕だ。

 学び舎にいた時に、ロイルのおさの館の結界を破って侵入して、毒草を育てるのが趣味だという、姫の育てたハーブを食べて、死に損なったシンヴァがもうロイル姓(一流)の魔法使いとは……


 感慨深げにシンヴァを見ていると賢者様がワタシの傍にやって来た。

 作業を終えたシンヴァもやって来て、スッゴイ!! 話をしやがった。


「ねぇ、賢者様~あの話は本当ですか~~?」


 賢者様は、怪訝そうにシンヴァを見た。


「あれですよ~~一部の風の精霊が大騒ぎてた~~」


 すると賢者差は、気を悪くされたのか椅子から立ち上がってしまった。


「な、何?シンヴァ」


 恐る恐る、ワタシは弟に何があったのかを尋ねてみた。

 そうしたら、シンヴァは物凄いことをサラッと簡単に言うんだ。


「賢者様が東方の男に強姦されたとか聞きましたが、まさかね~」


と、笑ってる、シンヴァの横に顔色を変えてる賢者様がいた。


「あれ?」


 シンヴァは余計な事を言ったのかな……? と、心配そうにワタシの方を見てきた。


 強姦って!? つまり、『攻め』の賢者様が『受け』にされたこと?

 ワタシには、初めてあった頃の賢者様の様子が謎が解けていくように分かってきた。


「その噂って、有名なのか?」


「銀の森で、高位の精霊が箝口令かんこうれいを布いたそうだから、ほとんどの人は知らないよ」


「何で、お前は知ってるんだ?」


「俺は、たまたま三賢人の方と親交があって、その場に居合わせたんだよ」


「そんな重要なことを本人に聞くな!」


「だって~ 事の真相を知りたかったんだもぉん~」


「お前こそ、槍部隊の拷問を受けてこい!!」


ワタシは、ハッキリしない言葉ながら、シンヴァに怒鳴り付けると、それまで難しい顔をしておられた賢者様が笑い始めた。


「そうなったら、たちまち噂になりますよ。弟君は、君ほど口は固くないでしょうから」


ワタシは、それもそうだと納得をしてしまった。


 



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