第3話  考えてたら怒られた  

 小鳥の鳴き声で、朝を迎えたことを知る。

 いつの間にか、ベッドの脇にもたれて寝入ってしまったようだ。

 丁寧に毛布まで掛けてあった。

 昨日の主様ぬしさま以外に、こんな事をする人はいないけど。


 部屋の真ん中のテーブルには、金貨一枚とお礼の手紙が添えられていた。


《久方ぶりに気持ちよく眠れました。あなたに神のご加護がありますように   %&#$*@・~~カル》


 主様ぬしさま、ここで本名を明かさなくても~~って、水差しの下に置手紙を置くから、名前の部分が滲んで分かりませんよ。


 ワタシとしても、昨日は加齢臭のする男に抱かれることなく、ストレスゼロだった訳だったと……。

 少し、気になるな……。

 昨日の主様ぬしさまのこと……。


 誰だったのか……。

 銀の森の情報にも明るいみたいだし……。

 上等の外套に、神官服の下に来ていたのは、黒い下着だった。

 チラッと見えただけだけど。


 神職の人が、黒い下着を身につけるのは、公に出来ない人の死を悼んでいる時だ。

 神官が?

 公に死を悼めないってどういう関係なんだろう


「オーリ!!オリヴィエ・ダナ!!」


 ワタシを呼ぶ声で我に返った。ダナおばさんは、強い口調で言った。


「悪い癖が出てるよ、考え込んでると、自然に顔に手が行く。昨日の客の事を考えていたね?客のことは詮索しないのがここのルールだ」

 

 ここが、それくらい口の堅い男娼たちの集まりで、偉い騎士や王族も通ってくれるのもその辺にありそうだ。

 

「掃除が済んだら風呂の用意をするよ。尻のケアを念入りにしとくんだよ」


 あ~~昨日の主様ぬしさまのような人は、もう現れないのかな~~

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