第2話

ある人、しとどに涙落としたるを見て、よみける


あきぬと 目にもさやかに さめざめと 長き夜をこめ 心ほどかむ


 ◇


「そんな顔してたらさぁ、丸わかりじゃん」

「……ごめん」

「謝んなくていいから、涙拭きなって。……今夜はもう、飲んじゃおっか」

「……朝まで一緒にいてぇ」

「わかった、わかった」

「うわ~~ん!」

「はあ……」


 ◇


――――

しとど:びっしょり

あき:「秋」と「飽き」をかける。「恋人に飽きられた」の意

さやかに:はっきりと

本歌:秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ 驚かされぬ

●立秋になったからって、はっきりわかんないけどさ、風は秋っぽいからそんな感じするわ

(古今集 巻四 秋上 藤原敏行)


✽私、下戸なんですが、素面だと朝まではなかなか大変ですね

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