再会 ⅰ

「ガチャッ」「ガチャガチャ」

「ガチャガチャガチャ」「アッ」「アレっ?」

思わずマヌな声が飛び出でる。

開かない。実家のドアが開かない。

俺は一旦冷静になる。

「あ。」 俺は気づいてしまう。

友達を誘うことで精一杯になるあまり、帰ることを家族に話してなかったのだ。

カーテンを覗いてみる。一切光の気配がない。「俺が住んでる時こんな時間には就寝してないだろ…」俺は死ぬ気で決断した。

「ピンポーーン」夜中の23時を回った時間帯に家のチャイムが鳴り響く。

「ごめんなさい。」心の中で謝りながら待つ。

「はい、、、なんですか。」父親だ。多分寝てたのだろう。すごく眠そうな声だ。

「将司だよ。こんな時間にごめんけど帰ってきた。」またそこから数秒の沈黙が流れる。

「え、なんて?」

寝ぼけてたのだろう。聞き直してきた。

「だから、将司だよ。帰ってきた。」

それからまた数秒沈黙が流れる。

「はい?どうしました?」

この声は母親だ。父親は信じきれなかったのだろう。(まぁ無理もない時間も23時過ぎだから)

「将司。帰ってきた。」

そういうと「ガチャ」と音を立てインターホンが切れるのがわかった。

それから数分。ガチャガチャと音を立て玄関の前まで来ているのがわかる。俺は身構えた。そしてドアが開くと同時に僕は頭を下げた。

「こんな時間にごめんなさい。です。」

両親はポカーンとしている。そして

「アホなのか?」と口を揃えて突っ込まれた。


一応だが俺は両親と仲が悪い訳では無い。むしろ良い方だとさえ思う。ただまぁ半年ぶりの再会な上に23時過ぎの訪問は人間としてどうなのかと言うだけで。


母親は急いでお風呂を沸かし余ったご飯と余りのカレーでカレーライスをしてくれた。久々の母親の味に涙が出るかと思った。思わず口にした「うめぇ」という言葉に「あんた、ここ最近人間のご飯食べてなかったでしょ。」と言われる。母親にはなんでもお見通しだった。


俺は大学での話をした。と言っても内容が薄すぎて五分くらいしか話していないが。


そして俺は月曜日の夜まで泊まらしてもらうことを伝え布団に入った。

(疲れのあまりせっかく入れたお風呂に入り忘れた。)

実家特有の安心感からか布団に潜っていこう全く記憶は無い。

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日常 宮里 京 @kyou_miya

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