騒がしい日常
「次は〜〇〇、〇〇」通勤時間と被り満員の電車に揺られる俺はイヤホンを耳に両手で吊革に掴まることしかできない。
「なんで都会なんかに進学したんだろ」大学3年にもなるがやはり満員の電車にはなれることが出来ない。「田舎に行ってたら田んぼでも眺めて寝ながら通学出来たのかな。」混み合う電車の中で目を瞑りながらそんなことを考える。
今日は一限に講義を入れたせいで寝起きの悪い俺はすこぶる機嫌が悪い。朝から焼いたパンは焦げるし、急いだせいで部屋の電気を切った記憶もない。
「帰りたい。」まだ講義が始まりもしない教室でネガティブを連発。
「
「どうぞお好きに。お金さえきちんと払ってくれる女の子なら。」
俺の飲み会にいい記憶は無い。初めて酒飲んだ時は1杯で顔真っ赤になって記憶ないし。前回和人と行った時には着いてきた女子の分まで払わされた。
「もっと都会人らしく飲み回れよ〜」そう言う和人は毎日のように飲んでは遅くに帰る正に「大学生」といった様子のやつだった。
「さ、講義始まるよ。眠いから寝させてくれ」
そう言ってチャイムと共に俺は眠りに着く。
次に目が覚めたのは和人に叩き起された時だった。「ほら、行くぞ行くぞ」どうやら講義は既に終わっていたらしい。初めて顔を合わせる人達の中にポツンと混じり、昼間から飲みに出かける。「この人達、昼間っから何してんだろ」都会ならではの昼間なのに飲み屋にサラリーマンらしき人が結構な割合で見当たる現象だ。「俺の地元、昼間はさすがに閑散としてたぞ。」
都会はどうも好きになれない。地元を離れる時は「もしかして遊び人になれるのでは?」とか「イケイケの陽キャになって青春だー」とか、そんな期待も少しはあった。でも、都会はもう懲り懲りだ。「地元に帰りたい。」最近この感情が強くなる。「再来週の三連休に久々に帰るか。」そう考えながら6人で囲んだテーブルの上に並ぶ好きでもないビールの入ったグラスを口元に運ぶ。そこから俺の記憶は無い。ただ気づいた頃には俺の財布から6000円が消えていた。「あの野郎。」また酔った勢いで乗せられたのだろう。静まることを知らない街の中をフラフラな足取りで俺は帰宅する。
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