第六勤務目 店長の出会いアプリの嘘 後編

「いやー大変だったわ」


「あ、店長今出勤ですか?」


「そうなんだよーこの前のアプリなんと女の子から連絡があってさー今日の昼間に会ってきてさー」


「おー! すごいですねどこに行ってきたんですか?」


「ふふふ、バイトくんも俺の完璧なデートプランに興味津々かい? しょうがないなーそれなら細かく聞かせてやろう!」


「うわー殴りたくなるほどのドヤ顔ですね! どうぞどうぞ話してくださいよ!」


「まずは相手からATMで五万円卸してくれってねって言われたんだけど、」


「ちっ! ちょっと待った! え? 何それ怖いんだけど?」


「なんだよ。こっちが気持ちよく話してるんだから途中で割り込んでくるなよ」


「いきなり変な話ぶっこんでくるほうがわるいでしょうが! デートの前に現金要求してくる女って絶対にやばいって!」


「で、会った直後にその五万円はその娘に渡したんだけど」


「渡したのかよ!」


「渡してくださいって言われたんだから渡すだろうよ」


「店長…もしかしてその娘って…」


「なに?」


「いや…どうぞ話してください」


「で、ご飯食べて」


「はい」


「買い物行きたいって言うから買い物行って」


「はい」


「ルイブィ…」


「やられてるー! この人やられてるー!!」


「なんだよ! 何がやられてるんだよ!」


「それ絶対パパ活ですよ」


「パパ活? なにそれ」


「悲しいおじさんたちから一緒にご飯食べてお金もらう女の子たちですよ!」


「そうなの?」


「だから五万円要求されたんですよ!」


「そういえばカバン買って別れるとき「あざしたー! またお願いしますね!」って言われた気がする」


「ほらー! 絶対そうですよ!」


「あーそうかーパパ活かー」


「そうですよ! もう何でそういうこと知らないんですか!」


「…よし! 決めた! 俺ママ活するわ!」


「ファ!?」


「女の子がパパ活していいんだろ? そうしたら俺もママ活するわ!」


「ちょっと待ってくださいよ! ママ活ってなんですか!」


「ママ活ってのは俺がママを探すってことだ!」


「それがわからないから意味を聞いてるんですよ!!!」


「だーかーらー! 赤ちゃんプレイってことだろ?」


「捕まりますって!」


「何でだよ! パパ活してる奴らは捕まらないんだろ! じゃあ俺も捕まるはずないだろうが! オムツ替えてくれよ!!」


「パパ活ってそういうことじゃないから!」


「わかんねえよ! じゃあ妹活ならいいだろ!!! おにいちゃんのパンツ洗ってくれよ!」


「妹への欲求が意味分かんないですよ!」


「あー! もう辞めだ! そもそも出会い系アプリなんて使うこと自体間違ってたんだよ!」


「そうですね。ここまでネットに疎い店長には難しいと思います」


 店長の出会い系アプリ体験はこうして終焉を迎えたのであった。

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