第五勤務目 店長の出会いアプリの嘘 前編
「バイトくーん。バイトくーん! これ教えてー!!」
「どうしたんですか店長?」
「このアプリで大きな出会いを求めてるんだけど全然マッチングしないんだよ」
「店長出会い系アプリやってるんですか」
「店の女の子はもう全員ダメ出し同級生には全員連絡したんだけど返事がこないんだよ。男たちにも連絡してみたんだけどだめなんだよな」
「それ、地元で全員連絡返さないように話ししてるんじゃないですか」
「違うだろ。たぶん田舎だから電波が弱いんだよ」
「実家ってどこなんですか?」
「ここから徒歩五分の所」
「全く返事来てもおかしくないじゃないですか! 絶対みんなで無視してますよそれ!」
「みんなガラケーかもしれないし」
「いつの時代の話ししてるんですか…同窓会とか誘われたことないんですか?」
「前に一回行ったことあるよ。だけど酒飲んでから記憶なくて朝に起きたらゴミ捨てばに寝てたんだよな」
「絶対になにかやらかしてますね」
「そんなこといいんだよ! 問題はこのアプリで返事がこないことなんだよ!」
「どうしてですかね。よかったらプロフィール画面とか見せてもらっていいですか?」
「たのむわ。ほい」
「…誰ですかこれ…」
「いや、俺のプロフィールだよ」
「この画像完全に海外の人じゃないですか!」
「俺の画像を弄ってたらこんな風になったんだよ」
「これは弄ったレベルじゃないですよ! 細胞のレベルから違いますもんこれ!」
「そうかな。すこしイケメンにしただけなんだけどな」
「これは画像変えたほうがいいですね。で、名前…って! 彪華玲(ひゅうがあきら)って誰ですか!!!」
「俺の出会い系ネームに決まってるだろうが!」
「出会い系ネームってなんですか! 本名にしないと駄目じゃないですか!」
「そうなの!?」
「そうですよ。こんな完全に偽名な人に連絡なんて誰もしてこないはずですよ」
「そうなんだ。後で変えとくわ」
「で、職業は…なんで大河主演役者って書いてあるんですか…」
「ファミレスの店長じゃ勢いが足りないかとおもってさ」
「嘘を書いちゃ駄目でしょうよ。と、言うか大河の主演してる人は出会い系使わなくていいでしょうが」
「あーそうかもしれんな」
「あと、年収だけ本当の数字にするの辞めましょうよ」
「それは嘘ついたら駄目かなって思ってさ」
「大河主演の人の年収がこれだけだったらみんな絶望しますよ」
「遠回しに俺の年収をバカにしてないか?」
「いや…現実って悲しいもんですよね」
「後は直す所ある?」
「まぁ、現時点で店長とは別人のプロフィールになってますから今のところ直せば大丈夫なんじゃないですか? 後、趣味の欄に巨乳って書くの辞めときましょう」
「わかった。ありがとう。これで連絡くるようになるかな?」
「わからないですけどまぁ、頑張ってください…」
「よーし! これで巨乳の女の子と出会うぞー!!」
「本当に大丈夫かなぁ…」
つづく
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