第11話 自己紹介②
「えっと……
ロングヘアをハーフアップにしてヘアクリップで留めている結那は紺色の眼鏡がよく似合っていた。
「五組の
奈津の正面に座っていた短髪の三年生が隣に座っていた男子に小突かれ、照れ笑いしている。
「
肩ほどまで伸びた髪をツインテールにした詩歩は背が低く、小動物のような印象を受ける。
(あっ……)
気づけば、次は奏音の隣に座っている女子の番だった。
「
髪を低めのポニーテールにしたつかさは静かな印象で、あまり目立たないような雰囲気を醸し出していた。
――ついに、奏音の番だ。つかさが椅子に座り、奏音はそっと立ち上がった。足が少し震えている感覚がある。
「え、っと……西野奏音、です。クラスは一組で、ホルン吹いてました。好きなことは……」
――好きなこと?
(……そんなの、あったっけ)
部活を辞めるまでは、奏音はホルン一筋だった。家に帰っても課題を放りだして好きなプロのホルン奏者の曲を聞いていた。けれど、この半年は聞いていない。
だから、好きなことは……
「……好きなことはクラシック音楽を聞くことです。よろしくお願いします」
小さく拍手が起こり、奏音は大きく息をつきながら座った。ふと顔を上げると、奏音の斜め前に座っていた桜が親指をたてて笑いかけた。
「……お疲れ」
小さく言った裕真が立ち上がる。
「三組の
寡黙な裕真にしては珍しく、声を出している。
次に立ち上がった背の低い男子に、奏音は見覚えがあった。
(あ)
確か、同じクラスにいたはずだ。
「……
長い前髪で表情がよく見えない朔は小さく頭を下げた。
「
(……こんな男子、いたっけ)
学校が始まって二週間ほど経つが、奏音は見覚えがなかった。
「ちょっとケガで入院してて、今日初めて学校来ました。好きなことは漫画を読むことです。よろしくお願いします」
ウルフカットの優は足をケガしたのか、重心が右足に寄っていた。スラリと背が高く、眼鏡をかけている。
(そういえば朝に先生がそんなこと言っていたような……)
「四組の
少し癖のある髪をアップバングにした透也は学ランを少し着崩していて、ラフな印象だった。
「
(兼部……)
燕学院吹奏楽部は基本、日曜日しか休みがない。兼部などできるのだろうか。
しかし、拓翔は涼しい顔をしていた。
「五組の
短髪の莉音は切れ長の目をしていて、どことなく気の強そうな印象を受ける。
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