第4話 仮入部

 その翌日から始まった仮入部。


 空手部の練習場所は、昨日と同じ体育館二階の用具置き場。


 いや、なんでだよ!


 と思ったけど、体育館はバスケやバレーに体操と、強豪チームがひしめく激戦区。


 そこへ新設の空手部(部員四人)が入っていけるはずもなく、必然的にこの場所となったらしい。


 指導してくれる僕のクラスの担任、柏手かしわで光毅みつき先生は、空手歴三十年の上段位者ベテランだから、それなりの実績を積んでいけば、体育館の片隅くらいは使わせて貰えるということだけど。


 部長が言うには『柏手先生って忙し過ぎて、ほとんど姿を見せることが無いのよね』って、ムリじゃん。


 ということで、僕への指導は部長がしてくれているが、その様子をジッと見つめるカリナ先輩の視線が怖い。


 というのも、いま僕の行っているのは立位姿勢と声出し。


 このくらいならと頑張ってみたら……。


「オッシュ」


 噛んだ。


 でも、そのせいかカリナ先輩の視線が和らいだ気がするけど……それも束の間。


「そうだね、もう少しこの辺に力を入れてみたら、声が出るんじゃないか?」


 そう言って、体操服姿の僕のお腹辺りをまさぐる部長。


 と、同時にゴゴゴと聞こえてきそうなほどの殺気を、背後から感じた。


 ヤメテ、怖いから。


 けれど、その後もカリナ先輩が口出ししてくることもなく、一週間の仮入部は無事に終了。


 本入部となったが、その日から彼女たちの態度は豹変した。

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