虹色魔導師は目立ちたくない⑨
「
「そ!誰でもその腕輪に魔法を入れられるからね。例えば私が入れてあげれば自分じゃ使えない魔法だってたった一度だけど使うことが出来るのよ。」
「レイさん、これ何かあったときに使えますよね?」
「そうね、私もそう思ったわ。」
「?何の話?」
これがあれば、咄嗟に公にしていない属性を使ってしまっても、この腕輪の魔法でしたー、で誤魔化すことができる。
レイさんも同じ様に勘づいたようだ。
「マリス、マリネさんは必ず貴方の役に立ってくれるわ。だから貴方の秘密を教えても良いかもしれない。決めるのは貴方だけどね。」
「何の話よ?その子の秘密?」
確かにこの人は四色魔導師でもあるし、有名な魔導師だそうだ。
僕がバレそうになっても上手くフォローしてくれそうに思える。
「そうですね、教えます。あのマリネさん。」
「なぁに?何か教えてくれるって?」
「実は僕虹色魔導師なんです。」
「は?」
やっぱり言葉だけじゃ信じれるわけないよな。
マリネさんも意味が分からないといった顔をしているし。
「マリス、見せたほうが早いわ。」
「そうみたいですね。ジン、ミア誰か入ってこないか見張っててくれるか?」
「分かった、もし誰か近付いたら教えるよ。」
念の為人目につかないよう見張ってもらう。
「マリネさん、これが証拠じゃだめですか?」
そう言って僕は身体から七色の魔力線を浮かび上がらせた。
マリネさんは口を開けて呆然としている。
「嘘でしょ?え?待って待って、どゆこと?レイちゃん!説明しなさい!」
「マリスは七色の魔力を持っているわ。ただそれが公になれば相当な騒ぎになる。彼は目立つのが嫌で隠しているのよ。表向きは三色魔導師ってことにしてね。」
「え!?なんでなんで!?虹色魔導師なんて富も権力も思いのままなのに!?」
「僕はそんなものより静かに生きていければいいんです。目立つのはあまり好きじゃないので。」
「もったいなー!!!ええー!?虹色だよ?どんな魔法だって使えるんだよ?まあ相当な騒ぎで済まないけどね。」
「まあそうなんですけどね。目立つくらいなら今のままの生活がいいです。」
誰も同じ反応をする。
富、権力、何もかも手に入るだろう。
しかし、それで平穏な生活が得られるかといえば否だ。
国に縛られ自由はなくなる。
そんな事になるくらいなら一生バレないほうがいい。
「それでこの
「確かにね、目の付け所はいいかも。どうする?買う?」
「買おうと思います。いくらですか?」
「10金貨よ。」
10金貨か。決して安くはない。
今の手持ち全て払えば買える値段だ。
この世界の金銭的な部分を説明すると、平民の月給が20金貨前後。
僕みたいな男爵家だったら月給にすれば50金貨程。
毎月貰うお小遣いと今日のために持たせてくれた金貨は15枚。
既に5枚使ってしまったから残りは10枚だけだ。
他の魔道具は買えなくなるがこれを買えるならいい買い物だと言えるだろう。
「買います。」
「毎度あり〜、じゃあ秘密を教えてくれたお礼に魔法は私が入れてあげるよ。私の魔色は赤、青、紫、藍色。どれがいい?」
「いいんですか?じゃあ赤と青は公に使える事にしてるので、紫色の闇属性をお願いします。」
「おっけー、じゃあそうだなぁどの魔法にしよっかなぁ。よし!これにしよ。」
腕輪に手を当て何やら呪文を詠唱する。
掌から出た紫色の魔力は腕輪へと吸い込まれていき、やがて光は消えた。
「これでおっけー!はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。ちなみに何の魔法を入れたくれたんですか?」
「フッフッフ、良くぞ聞いてくれました!入れたのは闇属性最上級魔法、
なんてものを入れてくれたんだ。
おいそれと使える魔法じゃない。
そもそも最上級自体使える人が少ないのに、こんな魔法を使ったら誰に入れてもらったんだって話になる。
「使い方は簡単。腕輪を着けた方の手を前に突き出してアインスマジックって唱えるだけ。ただし1回使えばなくなるからもう一度入れないといけないけどね。」
凄く簡単だ。
ただ1回使えばまた誰かに入れてもらう必要がある以上あんまり多用は出来ないな。
「マリネさん、強力すぎよ。そんなの何処で使うのよ。」
「まあいいじゃん。虹色魔導師を目の前に連れてきてくれたお礼ってことで!」
これで僕の持ち金は無くなった。
後はミアとジンの買い物が終わるまで魔道具を見ていよう。
「マリネさん、この腕輪もさっきのと同じかしら?」
どうやらレイさんが僕の買った腕輪と似た物を見つけたらしい。
しかし、明らかに装飾が高級だ。
「ん?それは違う腕輪よ。
「凄いわ、マリスの腕輪より何故こっちを勧めなかったの?」
「君達じゃ買えないからね〜。それ白金貨1枚はするよ。」
白金貨……1白金貨で1000金貨と同等の価値となる。
白金貨を見ることが出来るのは伯爵以上となるだろう。
「高いわね……、じゃあこの店で一番高い物なのかしら?」
「それが違うんだなぁ、これよこれ!」
ニヤニヤした顔付きで奥から出してきたのは宝箱のような箱だった。
手袋を着けて開けると中には1つの指輪が入っている。
「これがうちの店で一番高い物ね〜。」
「何なのかしらこれ?」
シンプルに見えるけど、良く見れば細かな装飾が施されている。
手の込んだ一品てやつかな。
「私の最高傑作!!
転移魔法。
それは誰しもが求め、未だ誰も成し遂げた事のない未知の魔法であった。
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