第7話篠原ユカside

 上手くいくと思った。

 幼児からのやり直し。

 最初はプチパニックになったけど、そこは幼児特有の順応性でなんとかなった。アニメや漫画でよくある展開。異世界転生じゃなく逆行もの。ヒロインっぽくて良いじゃない!


 私は前と同様に浅成学園に入学した。

 前の苦い経験をいかして、慎重に情報を集めた。

 同じ轍は踏まない。

 順調だった。

 前では何故か選ばれなかった生徒会。

 今回はすんなりと選ばれた。二度目の人生は上手くいっている。


 なのに……。


「なんで……?」


 なにがいけなかったの?

 首を捻る。


 今回は念願の鈴木晃司と恋人になれた。交際も順調で全てが上手くいっていたのに。


「どこかで読み間違えた……?」


 なにかを間違えたのだ。

 そうでなければおかしい。


 晃司が鈴木家の後継者から外れるなんて。

 鈴木家が前回と同じように退陣するなんて。


 なんで!?



「あ!そうだ!」


 わかった。

 原因は早川陽向だ。彼女は浅成学園にいなかった。大学に入学してくるのかも?と思ったけど、全然だった。

 元々、彼女が晃司の恋人だったんだから!でも……それでも変。私は早川陽向の座を奪っただけ。それだけでこうも早く鈴木家が没落するなんて。前回は晃司と早川陽向が略奪婚した後で起こっていたのに。前倒し?もう!やんなっちゃう!


 それに今回は始めからおかしかった!


 晃司の婚約者も前回の人とは全く違う別人だったし。


 もっと早く気付くべきだった。

 ヒーローを攻略したからってその後もあるってことを。

 上手くいくと思ったのに。


 あ~~、これからどうしよう。


 セレブ妻の未来は絶たれちゃったし。

 大学卒業後の進路だっておじゃん。卒業後は晃司とすぐに結婚する予定だったのに。それどころじゃなくなったし。晃司との婚約もなくなった。


 ため息しかでない。


 こうなったら、晃司と破局を教訓として新しい恋人を探さなきゃ。

 新たなヒーローをゲットだ!



 数年後、とある男性と結婚した。

 前同様に平凡な人生が始まったのだ。





 ******************


 篠原ユカは、二度目(本編)の人生の記憶を持ったまま逆行しています(一度目の記憶はありません。あくまでも本編の時の記憶のみのため、一度目の酷さを知らない)。



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