第2話再会2

「……娘……だと?……再婚したのか?なら、その子供は相手の連れ子か?」


「? なんのお話ですの?おじ様」


「い、いや、その……君は継母と随分仲が良いのだと思って……」


「継母?何のことでしょう?もしかしてお母様の事を仰っているのですか?ふふっ、嫌ですわ。とんだ勘違いですわよ。ですが無理もありません。お母様は大変お若く見られますもの。私のような大きな子供がいるとは皆さま思いもしないようですわ。よく、姉妹と間違われますのよ。『仲の良い姉妹ですね』と。実の母娘だと分かると皆さま大変驚かれますわ」


 元夫の言葉を別の意味で捉えた娘は、純粋無垢な笑みを浮かべて語ってくれました。


「実の母娘?……馬鹿な……桃子は子供の産めない体のはず……」


「まあ!おじ様はおかしな事を仰いますわ」


「い、いや……しかし……」


「お母様は私を含めて三人の子の母ですのよ?」


「さ、三人……」


「はい。私の弟達は可愛らしいだけではなく頭も良いんです。二人はお母様とお父様にそっくりだと言われますわ」


 娘は少々ブラコンの気があるようです。

 弟自慢をつらつらと語ってくれました。

 その話しぶりからして弟達一人一人に対して深い愛情を感じますわ。私は下に兄弟はいませんから娘の気持ちはあまり分かりません。それはシオンも同じ。いつも下の子可愛いの話に共感するのはお兄様だけです。そのせいか、娘は兄に大変懐いていますわ。シオンが嫉妬してしまう程に。


 絶句している元夫は、私に子供がいる現実が受け止められないようで未だに混乱しているようです。

 まぁ、そうでしょうね。彼との五年間で決して望めなかった事の一つですし。その事で、お義母様から随分責められましたわ。


 ええ、彼も私が子供が出来ない体だと思っていたようですわ。

 私も子供が出来ないのは自分のせいだと思い込んでいましたもの。


 決してそうではないと言いますのに――


 思い込みって怖いですわ。

 それとも、そう相手に思わせるが怖いのかもしれませんわね。



 本当に、彼と離婚出来て良かったと心から思いますわ。

 別れることなく夫婦生活をしていたらと思うとゾッとしてしまいますもの。



 こんな気持ちになるなんて離婚した頃は思いもしませんでしたわね。いいえ、彼と結婚した時は数年で別れることになるなんて考えもしなかったでしょう。




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