第14話 瘡蓋
負った傷が多過ぎて
瘡蓋の上からまた幾重にも重なっていく
治らないままにどす黒く
色素沈着をしたまま戻らない
だけど
あたしが誰かに負わせた傷の方が
実際は多いんじゃないかななんて
考えたらめんどくさくなって
あたしの心にうっすらと切り込みが入った
恵比寿に16時
珍しく早い待ち合わせだった
「ちょっと遅れるから先に店入ってて」
恵比寿神社脇にあるシーシャバーを指定される
店についてすぐくらい
相変わらず冷たい顔をしたマサトが現れた
「久しぶり」
マサトは髪を白からベージュにしていて
いつもながら整った横顔をしていた
「明るい時間に人に会わないから
なんだか落ち着かないよ」
暗い方よかった?なんて聴きながら
静かな店内に煙を吐き出して
20時過ぎから会食が入ってるというマサトに合わせ
珍しく早い時間にしたのだった
吸い始めて1時間くらいで
マサトがあたしの横顔を見つめて
ここ出よっか、って言って
マサトの後について行ったらラブホテルで
あまりにスムーズにラブホテルに入って
なんか若いよねとか
背徳感あるよねとか
そんなこと言い合いながら部屋に入って
服脱いでベッドに倒されてから
綺麗だねなんて言ってきて笑いそうになって
相変わらず良いセックスで
疲れてるのかすぐに眠りに落ちたマサトを眺めながら、ほんの少しだけ傷が癒えた気になる
体をしっかりホールドされて動けないから
ただただ綺麗な寝顔を見て
目覚めたマサトを離してシャワー浴びて
すぐに出て近くのカフェでMacBookで作業をするマサトを眺めた
渋谷に行くマサトのタクシーに同乗して
『これ本命だからさ』
「そう言って渡す人いないでしょ。
バレンタインなんて忘れてた」
バレンタイン当日だったからチョコを渡してみてバイバイ
渋谷で、モデルをしてる20歳の大学生と飲みに行ったけど、つまんな過ぎてすぐに解散した
明日は福岡に行くんだよな、ジュンと
逃げ出したくならないといいな
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