第12話 ロビンソン
朝になってカフェでコーヒーを飲みながら
今日会える?っていうジュンのメールに返事をする
「OAZOの地下にあるコーヒーショップで待ってて。12時には行くよ」
そう言われたから
12時前にその店に着いて、珍しくカフェモカを頼んだ
席についてすぐくらい
店の前をハッとするほどに整った顔のジュンが通る
喫煙室にジュンがすぐ現れて
煙草に火をつけながら
「ああ、俺煙草やめてたんだけどなあ」
なんて言いながら煙を吐き出す
『久しぶりだね』
「昨日のって俺がどうするのが正解だった?
結婚早くしとけばよかったなって後悔したんだよ。
そしたら簡単に関係が終わりそうになったりしないのになって」
『昨日あたしメンヘラみたいだったよね。自己嫌悪しちゃった』
「エリカに会えなくて昨日することなかったから掃除してたよ」
『掃除できたならよかったじゃん
あたしの中で昨日のことはなかったことにした』
「そういう考えいいね。じゃあ今日からスタートだね」
昨日は会う約束をしていたんだけど
会った瞬間からジュンのテンションが低そうで
怠くなって途中であたしが帰ったんだっけ
「やっぱ可愛いね。
さっき外から一瞬見えた時すぐ思った」
ニコリともせずに真顔のままジュンは言う
「どうなの?エリカってほんとに俺と結婚する気ある?
俺だけ先走ってるのかなとか思ってさ」
『ほんとにしてくれるならするよ』
「来月俺実家帰るから、一緒に行ってくれる?
親には話しておいたから、いいなら飛行機のチケット取っちゃうよ」
冷たくも整った顔のジュンは、表情を変えないまま早口でそんな事を一気に言う
今日どうする?ってなって
初詣に行ってないねってことで神田明神に行くことにした
カフェを出たらすぐにジュンがあたしの手を握るから
こんなことしてくれるんだなって思った
神田駅から歩いて向かってる間
ジュンは珍しく自分のことを話してて
中学受験の時にここの鉛筆もらったけど落ちたんだよねとか
だけどすぐ札幌に引っ越したからべつにいいけどとか
神田明神でおみくじ引いて
秋葉原をうろついてからランチしてスタバに入って
ノリで東京タワー行くことになって大門
その前にセックスしない?なんて聞いてくるジュンに
今日はする気ないよって言ったらすごい残念そうにしてるのがおかしかった
電車の中でジュンは
結婚したらどこに引っ越そうかななんて話す
大門から向かう途中
『ねえ、あたしのこと好きなの?』
「好きに決まってるよ。俺何度も言ってるじゃん
エリカは全然言ってくれないけどさあ」
『初対面で結婚しようなんて話になったから、べつに本気じゃないのかななんて思ってた』
「結婚しようって言ったのはエリカだし、俺そんなこと言ってくれた人初めてだったし誰でもいいわけじゃないよ。
好きだからエリカと結婚したいって思った」
『あたし達って付き合ってるの?』
「違うの?付き合ってないのに結婚するの?
でも今どきわざわざ付き合おうって言わないよね」
『あたしは0日婚したいから付き合ってなくてもいいよ』
「俺は付き合おうって言わないけどね。
でもエリカと結婚するよ」
東京タワー最後に来たのは確か18歳の時で
初恋のユウタと一緒だったなって思い出した
「俺地理とか地形図が好きだからさ、こういう上から見る地形好きなんだよね。
でも東京タワーって外から見ると奇麗なのに中から見る東京の景色は汚いよな」
そんなことを言うジュンを眺めて
こんな綺麗な顔の男と結婚するのかなって思った。
こんな綺麗な顔の男が旦那さんになるってどんななのかななんて思った
電車に乗って
そこでもジュンは結婚後の話をしてて
サラリーマンは限界が見えるし起業したほうがいいかなとか
子供いつぐらいに欲しいかなとか
会うのは3回目なのに
ここまで具体的に話してくる人は初めてで
本気で思ってるのか?って疑問で
結局ジュンの家に行ってセックスして
芸能人みたいに綺麗な男なのに
性的な魅力を感じないから好きになれないのかもしれないと改めて思う。全く濡れないのだ
ジュンはあたしに中出しをして
「エリカって美人なのになんで今まで結婚しなかったの?」
『選択肢が多かったからなんじゃない?』
「エリカってモテるでしょ?俺もモテるしさ。
今後他に心揺らいだりとかしない?」
『見た目がいい人と付き合ってると不安があると思うんだよ。
自分より美人に迫られたらそっち行っちゃうかなとか。
だからってことはないけど、早く結婚しちゃいたいなって思う。
そうすればブレーキかかるでしょ』
気づいたら結構遅くて
泊ればいいじゃんって言われたけど駅まで送ってもらって別れた
神田明神の帰り道
俺今日ずっと頭の中でロビンソンが流れてるんだよねってジュンが言ってたのを思い出して
久しぶりにロビンソンを聞きたくなった
思ったよりも暖かい夜だった
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