第3章 移住生活編

第19話 移住先の決定

意見が対立し3人の母親が牽制しあっていた移住先は、僕が何気なく言った一言によって呆気なく決まってしまった。


母さん達が勧めるところ全部で住んでみたいと言ったら3か所作ればいいという事になってしまったのだ。

観光の街はマリア母さんと僕の親子の移住という事で登録する。

迷宮都市はリサ母さんと僕の親子の移住という事で登録する。

高原の村はフローラ母さんと僕の親子の移住という事で登録する。

登録していない2人は親友が訪れたという体で宿泊する。

そんな感じで各々の拠点に移住する為の準備を行っていった。


マリア母さんは観光の街の短期滞在を王都で申請し国営銀行への預け入れを行った。次に役所で街への短期滞在許可証を発行して貰い、申請が通ったため街に入った。ちなみに滞在の目的は街への移住の為に家を買いに行くと言うのもで、銀行の預け入れ証明書の控えを提出したらすぐに通った。街に入ったら役場に向かい空き物件を紹介して貰う。この街では不動産は役所が行っている。いくつかの物件を複数見て1つを購入した。

銀行で発行して貰った預け入れ証明書の控えと家屋売買の契約書の控えを持って役場の移住申請課に提出すれば住民登録が完了した。僕も息子という事で住民登録が住んだ。

家は漁港から結構離れた高台のある家だったけれど、家はとても広いし温泉が直接取り込める配管が設置されていたし、街が一望できる位置にあって一目で気に入ってしまった。これだけ広い家だと住み込みのお手伝いさんを雇って家を管理するのが一般的という話だったので、リサ母さんとフローラ母さんと雇用契約を結び役所に就労滞在許可証を発行して貰った。

リサ母さんとフローラ母さんも銀行に口座を作り、毎月一定額づつ支払われるような手続きも行った。

2年以上住み込みのお手伝いさんとして過ごし、貯蓄額が移住許可金額以上ある状態を満たすと、家を購入していなくても住民登録をする事も出来る。それを目指している訳では無いけれど、選択肢を増やす事になるのでそういう手続きは行った。


次に迷宮都市に行き全員で探索者登録を行った。

特に年齢制限はないとの事だったので僕も登録出来た。

パーティ名とリーダーを決める必要があるとの事だったのでビッグマザーというパーティー名でリーダーはリサ母さんだ。

比較的高級な宿で4人部屋を借り探索者として活動していく事になった。

期限が決められた依頼では無く常設依頼を受けるつもりで内容を確認したあと迷宮に潜った。

入り口で母さん達をナンパしてきた探索者たちを適当にあしらった後で31階層まで往復して依頼物を預けた。

31階層に咲くという花の花粉を精製する事で副作用の少ない麻酔が作れるそうで常設依頼になっていた。他にも5層のスパイダーシルクの採取とか、11層のミスリル結晶の採取とか、23階層の黄金リンゴの採取とか、あまり嵩張らないけれど見つけるのが難しいため高額になっている収集物を回収して探索者ギルドで換金を行った。

超能力の千里眼や透視などの力を使うと探索は非常に簡単であるため効率的に往復が可能だった。

これを繰り返せば実績が溜まりギルドランクが上がっていく。

1年もすれば居住権は得られるし、難しい探索もこなすようになれば3年も経たず上級探索者の住むエリアに立派な家を構える権利を取得出来る様になる筈だ。


探索者活動の合間に高原の村に一番近い街の役場に行って移住希望の申請を行った。若者の村離れが進み高齢世帯が多くなった高原の村に若い親子が移住希望していると知って驚かれたが、亭主と死に別れたので今は静かに暮らせる場所を探していると事情を話したら納得された。

かなり広い土地付きの家もあるそうだが家屋の修理や水回りの整備や村道までの道の管理は自腹である他は敷地をどう改造しようと自由らしい。

村営のブドウ畑での収穫時期は村人総出の作業になるらしく、それに参加する事が必須らしい。賃金は支払われないけれど、葡萄酒の売上が村の税金の代わりとなるそうで、参加しなかった場合は結構なペナルティの罰金が必要になるらしい。

誰もが認める事情があれば免除はされるそうなので、しっかり溶け込んで過ごせば問題は起きないそうだ。

申請2週間後に街から村に連絡が行き移住の許可が得られたと返事があったので、フローラ母さんと僕で村に行くことにした。

村まで馬車なら1日だけど定期的な馬車の往来は3週間後になるらしい。徒歩でも頑張れば3日で着けるそうだけど、中継地点となるような集落は無く中間に馬車の休憩ポイントとなる小屋があるだけなので、馬車を雇って行くことを勧められた。

瞬間移動を使えば馬車が無くても移動は可能だけど、手荷物も無く徒歩で訪れるのは不審に思われそうなので荷馬車を雇う事にした。

荷馬車には砦の拠点から持ってきたダミーの荷を積んで村に向かって貰った。

御者の人は一般人だけど準貴族に近い魔力があるそうで、獣に襲われても余裕で撃退できるし山賊が出ても余程の事が無ければ負けないらしい。

実際荷物を積み込む際も魔力を使った身体強化を使って、疲れた様子が無かった事からも魔力がそこそこ強い人である事が分かった。

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