第6話 超能力を鍛えていった
屋敷から追い出されてから2年目になった。
先日2人に僕の5歳の誕生日を特別なご馳走で祝って貰った。
僕は毎日運動をして超能力の訓練をして瞑想するという鍛錬を繰り返していた。
マリア母さんとリサも俺の様な力を使いたいと一緒に鍛錬するようになった。魔法の力では無いと説明しているけど半信半疑なんだろう。
チャクラの力は目醒めた時から意識しなくても常に体を薄く循環していた。だから超能力の力は発動しようと思った瞬間に発動できる。ただし無意識下で発動する力が強くなってきたので抑える鍛錬をしている。意識する事で循環する力を増やしたり減らしたり出来、それにより威力も変化させられるというのは魔法と同じらしい。
マリア母さんとリサにチャクラの力の使い方を伝授し続けているけれど、魔力しか感じられないようで使えるようにはなっていない。
ただし体の接触を通じて僕がチャクラの力が2人に伝わっているようで、体を接触しながら瞑想すると何か体がポカポカして疲れが取れるらしい。だから鍛錬の時間の他に1日の終わりに3人で手を繋ぎながら瞑想をするようになった。
そんな事を続けていたところ、2人は瞑想後はしばらく魔力が上がっていると言うようになった。
マリア母さんもリサも魔力は準貴族並で詠唱や魔力循環のコントロールを鍛える事で、一時的に貴族並みの威力が出せるだけだった。しかし瞑想後は威力が貴族並に高まっていてコントロールしずらくなっているらしい。元々コントロールが得意だった事もあって何とか対応しているようだけど貴族の様に普段から魔法を使えない生活にはなりかねないと嘆いている。
そんなに苦労するなら瞑想を辞めたら良いのにと思ったけれど、辞める事は考えていないらしい。何故なら瞑想を始めた辺りから二人が肉体的に若返り始めたからだ。
2人は小屋に来てから生活が変わった事とお洒落や美容に費やせ無くなった事で、見た目が老け込んでしまっていた。目が見える様になった頃のマリア母さんとリサは1年も経って居ないのに5歳ぐらい老けたように見えたのだ。
屋敷にいるときより痩せてたし肌が乾燥していて目尻や口元にも皺が出来て居た。風呂場で久しぶりに見たマリア母さんやリサの胸は小さくなり少し垂れてきているように感じていた。
しかし瞑想を一緒にやり出した辺りから、段々肌のハリが良くなり髪もツヤツヤ輝くようになってきた。胸は元の大きさには戻ら無かったけど持ち上がっていた。だから絶対瞑想は続けたいと鼻息を荒くしながら訴えてくるのだ。
僕もマリア母さんやリサが元気で綺麗になってくるのは嬉しいので断るつもりは無かった。瞑想後は料理で火を使ったり水を出したり身体強化を使って動く時には大変そうだったけど、綺麗で居られる事の方が重要なようで笑顔で楽しんでいるように見えた。
超能力についても色々挑戦した結果、発火だけではない力にも目覚めていた。
しかも発火の力は燃やす力ではなく物を温めたり冷やしたりする熱変化の力であるという事が分かった。
現在使える能力は、熱変化と念動力と念話と瞬間移動と名付けている力だ。
他にも透過や千里眼という力に目覚め始めていて練習している所だ。
熱変化は火魔法によって外から炙っている加熱と違い、対象の内部に直接作用している力だった。火がつく温度まで加熱すれば燃えるので発火能力と勘違いしていたけれど、鉄に使って赤熱させた事で燃焼では無いと気が付き、温度を低くさせる事も出来た事で熱変化だと気がついた。
念動力とは手を使わずものを動かす事が出来る力だ。
大人3人ぐらいなら持ち上げて飛ぶ事も出来るので首輪さえなければ飛んで逃げる事が出来る。魔力での身体能力の様に体を動かす事を補助する事で早く動かす力として使う事も出来なくはないけれど、人は歩く時にどう歩くのかは無意識に行っていて、それを念動力で意識してコントロールする事は難しい。下手にやると体を色々痛めてしまいそうだ。体をまとめて浮かせて動かしてしまった方が簡単に早く動く事が出来てしまうため、そういった補助を考える事をやめてしまった。
念話は音を介さず考えている事を相手に意思を伝える事が出来る力だ。
相手との接触が必要だけど強く思った事ならば接触無しでも薄ぼんやりとがイメージを伝えられる。接触せずともきちんと伝わる様にする事が今の目標だ。
透視は物を通過して見る事が出来る力だ。
使い方によっては他人の裸を覗く事が出来てしまう力なので、二人には壁の向こうの事が分かる力だと伝えている。
普段から二人の着替えの時などは僕が居ても裸になるし、風呂に一緒に入る事もあるので隠す必要は無いかもしれないけど、他人には良く見られない力だという事は前世の記憶から分かっているので誤魔化す事にした。
瞬間移動は見えている場所に一瞬で移動する力だ。
透視で見えている場所にも移動できるので壁抜けも出来る。千里眼を鍛えているのは移動出来る距離を伸ばしたいからだ。もしできれば安心してこの小屋から逃げ出せるようになるのではと思っている。
とても力の消費が重いため近距離を移動してもかなりの疲労感に襲われてしまうので、脱出する時のために一番熱心に練習をしている。運べるものはあまり多くは無いらしく、最初に使った時は服がその場で脱げ落ち裸になっていた。
爆発の首輪も外れたのだけれど何故か爆発はしなかったので不良品なら丁度いいと再度付け直した。
今では服を着たまま移動出来ている。
他人も瞬間移動できそうならマリア母さんとリサの首輪も外せるのではと考えている。
超能力は使える力の量と強さが増えて行っているけれど、使えば使う程空腹になるので食事量が増えてしまっている。マリア母さんもリサもこの力が脱出の秘策だと理解してくれて、食事を多く回してくれている。
食事内容によって回復量と回復速度に違いがある事も分かって来た。
肉は回復量が多いが回復速度は遅い、麦や豆などは回復速度が早いけれど回復量は小さい。甘いものは回復速度も回復量も多い、しかし甘いものは貴重なのでそこまで食べられない。野菜は回復量が若干しか増えないけれど、回復する時間が長くなるので腹持ちが良くなる。マリア母さんからも好き嫌いせず野菜を食べなさいと言って来るので野菜は一杯取る様にしている。
リサが蜜蜂の巣を採取してきた事が数回あったけれど、蜂蜜は別格なほど魔力の回復速度が早い食べ物だった。けれどそんなに多く取れるものではないので、今は蜂蜜はため込んでおくようにお願いしている。
マリア母さんの大好物なのだけど、切り札になるかもしれないので無理を聞いて貰った。
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