第3話 王族と貴族の事情
世界には複数の国家があり、王が貴族を従えながら戦争をしていた。
しかし王族や貴族の争いに比べ一般人は足手まといにしかならなかった。そのため後方支援要因としか考えられていない、この国の周囲で戦争とは王族や貴族や準貴族とされる家臣達が街とは遠く離れた場所で集団戦や一騎打ちをして決するものになっていて前世の様に一般人を巻き込んだ戦争という事は行われない。
準貴族は貴族の係累で高い魔力を引き継げ無かった家がなっている事が多い。一般人に比べれば充分に高いけれど戦争では足手まといという意味では一般人と差異はないらしい。
魔力の高い人を王族や貴族達で独占している状態なので、一般人から魔力の高い人は出にくい傾向にあるため、一般人からしたら準貴族でも畏怖の対象ではあるのだが。
王族や貴族は魔力の高さを誇るため威力の高い魔法を好む傾向にあるらしい、しかし威力の高い魔法を使うと次第に魔力のコントロールが苦手になるらしく適度な威力での魔力の使用が苦手になっていくらしい。また威力の高い魔法を使うと体外からの魔力の供給量に追いつかなってしまうらしく頭痛がしたり気絶したりと経戦能力に支障が来たすようになる傾向にあった。
だから王族や貴族は戦争以外では魔力を殆ど使わないで暮らす人が多く、魔力量も比較的多くコントロールを苦にしない程度の威力である準貴族を王族や貴族が多く抱え込む傾向にあった。また王族や貴族は少数でありるため、血が濃くなり過ぎるのを防ぐ目的で比較的魔力の高い準貴族や一般人を伴侶にする。そのためさらに一般人に魔力の高い人が生まなくなっていく傾向にあるらしい。
しかし、世界の殆どの人は平民と言われる一般人だ。
この国で王族は5人に対し、貴族は102人,準貴族は約1万1000人、平民は約500万人という割合で社会を構成している。
直接戦いになると5人の王族は102人の貴族と戦っても勝てる力があり、102人の貴族は約1万1000人の準貴族と戦っても勝つ力があり、約1万1000人の準貴族は500万人の平民に勝つぐらい力の格差がある。
けれど物を生産する事については準貴族と平民にはそこまでの格差は無いため、人口の多さから世に出回るものの殆どが平民による生産物になっている。特に王族と貴族は普段から魔力の使用を制限しているため物を生産する力が皆無となっている。
準貴族並みの魔力を持つ一般人や、貴族並みの魔力を持つ準貴族は居るけれど、王族並みの魔力を持つ貴族は居ないらしい。過去には貴族並みの魔力を持った一般人が産まれた事があり、辺境の未開拓地を開発して貴族として認められたという話が過去にはあった。しかし後にそれは貴族並みの魔力しか持たなかったために廃嫡された王族だった事が分かっていて、いかに王族や貴族の血が大事かという戒めのように喧伝されるようになっている。
王族は例が少なくて分からないが貴族と準貴族に産まれた子供は魔力が低いと冷遇される傾向にある。平民の場合は魔力が殆ど無い人も居るため冷遇されるような事はない。けれど魔力が高い事が羨ましがられる傾向は王族や貴族と一緒だ。しかし一般人が王族や貴族並みの魔力となる事はほぼ無い。けれど周囲より魔力が高い事で増長する人はいるようで、貴族や準貴族の目に留まってしまい街に居られなくなる事があるらしい。
街から逃げ出した平民の中には街道で盗賊行為を行う集団を形成する事がある。
貴族が討伐に出ればすぐに鎮圧されるだけなのだが、過去には権力争いで逃げ出した貴族や準貴族などがリーダーとなったため、貴族に死者が出た事があったそうだが、それはかなり稀な事らしい。
盗賊たちは殆ど平民なので、街の外に出ても貴族や準貴族にとってはあまり脅威にならない。また普段から街道を行き来する商人や馬車の御者などは、平民のなかでも比較的魔力の高い人がつく。高給ではあるが荷物を安心して任せるには魔力が高い人が良い。だから盗賊になる事はかなりリスクのある事だと言われている。
僕は貴族の家に産まれる事が出来たため幼少期までは裕福に生活する事が出来て居た。
父親は上位に位置する貴族らしく、広い農地やいくつもの鉱山を持つ豊かな土地を治めていた。
そんな家で産まれたためか、僕は言葉を発するようになった頃には、父親から魔法の訓練を命令されるようになっていた。
体内にある魔力を循環させたり魔法を発動させるための訓練を延々とするように言われたのだ。
しかし僕は3歳を過ぎても、魔法の発動どころか魔力循環すらもまともに出来なかった。
俺が魔法を使えそうも無いと知ると俺の父親は僕とマリア母さんを罵倒し始めた。
父親は、マリア母さんは獣と交わり子供を作ったと罵倒しだしたし、僕の事をあからさまに獣だと言った。女は殺す訳にはいかないがお前は違うぞという言葉も投げつけられていたので、マリア母さんと専属使用人であるリサが必死に僕を庇ってくれなければ、殺されていたかもしれなかった。
マリア母さんは貴族同士の子として産まれたので貴族ではあるけれど準貴族並みの魔力しか無かったらしい。しかし魔力をコントロールする技術を磨き続けた事で、使用した魔力以上の効果を出すように精緻な魔法をが使えるようになった努力の人らしい。
そして専属使用人のリサは血を濃くしない為に招かれた貴族の妾の子でマリア母さん従姉になるらしい。魔力がそこまで高くないため準貴族扱いだが、マリア母さんとほぼ同年という事もあって姉妹のように育ったらしい。準貴族でありながら基礎体力と魔循環を磨く事で一時的なら貴族に匹敵するぐらいの身体能力を発揮できるようになった同じく努力の人らしい。
僕は父親から罵倒されるようになってからリサ以外の使用人達から嘘をつかれて広い屋敷内で迷子にさせられたり、残飯の様な料理を出されたり、服の一部が破かれたりなどの嫌がらせを受けるようになっていた。マリア母さんやリサは僕を懸命に庇うので、2人の目を離した隙に行われるこれらの苛めが巧妙にされるようになっていった。
ある日、マリア母さんと一緒に朝食を食べていたところ、僕の食事に何かを混ぜられていたようで、猛烈な痛みと共に意識を失ってしまった。気がついた時には目が見えず手足も動かなくなってしまったのだ。
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