第2話 現世の世界

現世では魔法が便利であるためか科学技術の発達がおくれていたけれど、快適な生活が送れるような社会が維持されていた。人間は魔力を活用する事により他の生き物より基礎能力が高く、過酷な環境に順応する力は前世の人より高いように感じた。魔法を使えば道具が無くても火を起こし水を得る事が出来てしまう。力も強く足も早いので油断しなければ大きな獣にも遅れを取る事はない。だから人は魔法の腕を磨く事に労力を費やしても、道具を発達させる事に労力を費やしてこなかったようなのだ。


魔法とは、古代都市跡地などから発見される創造神の言葉を刻まれていると言われる石碑に由来している技だ。創造神が世界を創世したあと伴侶として作ったという魔神。それが創造神に逆らった際に生み出した眷属達が使ったとされている技が魔法で、魔神から吐き出される魔素という不可視のエネルギーで火、水、風、土の4元素を使った現象を起こす事だと石碑には書かれている

魔神は創造神に敗れたが滅びる事は無く、戦いの後に封印されたらしい。創造神も魔神達との戦いに疲れたらしく今は休んでいるそうだ。

魔神は眷属を作る際に創造神に対抗できるよう最も狡猾に生きていた生き物を参考にしたらしく、それが人間の祖先だったらしい。そのため魔神とその眷属が創造神により地上から排除される間に交わってしまったらしく、人間は地上で魔法が使える唯一の生き物になってしまったそうだ。また魔神の眷属は強大な力を持つ創造神に対抗するため狡猾な思考を磨くように作られていたため、それと交わった人間の子孫もそれを受け継いでいたらしい。獣とは違う知恵ある生き物になっていると創造神が最後の方に作ったとされる石碑に書かれているらしい。

魔神は封印さてていても滅んでいる訳ではないらしい、だから今でも人間は魔法を使う事が出来る。石碑には魔神がどこに封印されているか書かれてはいないが、地下からの噴出物が多く見られる火山地帯などの周囲では魔素が濃いため、魔法の威力が高くなることから地の底に封印されていると考えられている。また世界各地に見られる地下に伸びる迷宮と呼ばれる洞窟には地上では見られない魔法を使うため魔獣と呼ばれる生き物が存在している。それも魔神が地下深くに封印されたという根拠になっている。


石碑には魔神を悪しきものと書かれて居るけれど人間にとっては知恵と力を与えてくれた開放者と崇拝されている。そのため火山や迷宮の近くには魔神を奉る神殿や風習が数多く存在している。ただし創造神の信者には魔神は悪しきと考えるらしく、魔法の使用や迷宮への立ち入りを戒めているらしい。


石碑には神がなした事も描かれているけれど、それは魔法では再現が出来ないらしく、創造神を崇める宗教では奇跡と呼んでいる。

奇跡も魔法の一つと考え再現する試みは古くから行われているが、星を天から落とすとか、地を一瞬で溶岩に変えるとか、指さしただけで海の水を消滅させるとか、魔法では到底再現出来なさそうなものばかりであるため不可能と言われている。


人なら誰でも魔法を使えはするけれど、魔神の眷属の血の濃さなのか、人が持つ魔力の大きさには個人差が存在する。一般人の持つ程度の小さな魔力では大きな力は発揮できないものらしい。

例えば火を起こす魔法は、優れた使い手が使うと数百人を焼き殺すような強い炎を生み出るけれど、一般人ではしばらく弱い火を灯せるぐらいにしからならない。

また、体に魔力を循環させる事で身体能力を向上させる事が出来るが、世界一の使い手だと全力疾走以上の速度で走り続けられたりかなり重い物を持ち上げ続けらりたりするそうだけど、一般人だと短時間で魔力が尽きてしまい早く走り続けたり長く持ち上げ続ける事は出来ないらしい。


この国では多くの国がそうであるように強大な魔法を使える人が支配階級となっている。そして魔神の眷属の血の濃さは遺伝していくため、支配階級には魔神の眷属の血を尊いと考え代々引き継ぐ事を美徳とする考えが有る。支配階級の頂点である王族や貴族といった人たちは魔力の大きさを人間の価値と考えていて、魔力の低い人を獣と蔑んでいるのだ。

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