第8話 しゃ仏だま
女子高生の佐山さんは、ショートムービーを投稿するSNSにアップするための動画を、自宅近くの公園で一人で撮影していた。
その頃流行していた女性アイドルソングに合わせて、お決まりの簡単なダンスを踊る。
「盛れる」フィルターを選び、カウントダウンボタンを押し撮影がスタート。
「いいね」を沢山貰えるようにかわいい表情を崩さずに踊った。
さてさてどんなものか。
撮れた動画を確認した。
しかし、かわいく踊る自分の姿は撮れていなかった。
代わりに撮れていたのは、どこの家の物か分からない仏壇だった。
かわいらしい女性の歌声が流れる中、仏壇が正面からただじっと映されていた。遺影のようなものがあったが、ぼやけていて顔はよく分からなかったという。
なぜこんな物が撮れてしまったのか。バグにしても、あまりにも気味の悪いバグだ。
怖くなった佐山さんはすぐにその動画を削除した。
その日は撮影をあきらめ家に帰った。
それ以来、撮影時に仏壇が映ってしまうバグが起こることは無かったが、一度だけそのSNSを開いた瞬間に流れてくる「おすすめ」動画に、無音で文字なども付けられていない、ただ仏壇をじっと正面から映している映像が流れて来たことがあった。
あの日撮れた仏壇と同じ物だった気がすると佐山さんは言う。
だだひとつ違うのは、その動画にはハート型のシャボン玉が沸き上がってくるエフェクトが掛かってたというのだ。
なんとも奇妙な映像だったという。
佐山さんは友達にその動画の事を話したが、誰もそんな動画は見たことがないと言うし、みんなで探してみようと盛り上がり必死で探したが、いくら探してもその動画は見つからなかったそうだ。
佐山さんの身に今のところ異変は起きていないという。
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