第一編(一番弟子、二番弟子)第一章〜父親の謎〜
1-1-序〜親子の旅路にて〜
彩やかな木々が広がる夕焼けの下...。
赤みを帯びた葉が枝からぽろりと落ちて、吹く風に乗って刹那の旅に行く...。
その葉の旅の終点は、優しく差し出した少女の手の平のようだ。
少女は、
この少女は、名を
ましてや、この季節の木々を見ることさえ初めてなのである。
すると急に空が暗くなり、雨がざーっと降る。
「
「うん...。持てるよ。ありがとう」
母親は荷物の下敷きになっている防水性の皮を取ろうとするため、取っ手の部分と荷台の輪をぬけ、横に回ろうとする。
「お母さん!うしろ!」
すると、一瞬にして母親の首に赤黒い闇が巻き付き、脚は半分ほど赤黒くドロドロした液体に溶け込んだ。
母親の後ろ側には、一瞬にして赤黒い闇に包まれた世界に代わり、地面は赤黒い液体のようなものが荷車の車輪すれすれまで来ている。
母親は力を振り絞り、
「
「嫌だよ...。お母さん...」
母親は、
「あなたは...強いから...私が...いなくても...大丈夫よ...」
「お母さん!!」
すると、
右側に光をまとった紳士がいるのである。
もう一度、「怖くないのか?」と問われ、
「ほう。面白い」
すると、横にいる
「手を広げて、前に向けてみよ。」
と言われたので、
すると、
すると、光の玉は、滝となり地面へ落ち、瞬時に大河となった。
その川の真ん中の部分が母親の後ろへ回り込み浮き上がり、他はそのまま真っ直ぐ勢い良く流れる。浮き上がった水は
すると、赤黒い闇は消え去り、元の風景よりも山々が美しくなったように見える。
そして、巨大な青い円盤のようなものが何層にもなり、地面に収納されていった。
「主様。こちらを...」
「間違いなく、我の神殿の破片...」
神殿に祀られている神は、その神殿の周りの状況をある程度知ることができる。
しかし、管理されていなかったり壊されたりすると、その情報を知ることはできない。
「我の神殿を荒らし、連絡を途絶えさせ、我の神殿の近くに居座るとは、我への宣戦布告か...」
「ほう。いい度胸だな」
「だが、
「下界の者達も巻き込んでいるのだからな」
「承知しました」
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