第14話 課外学習の班分け

☆☆☆特訓


「さてと、オリビエさん。貴方の持つ光属性魔法についてお伺いしたいざますザウルス」


「何でも聞いてください! ラーリア先輩!」


「せ、せんぱい……凄く良い響きでざますザウルス……」


「ラリー様浮かれないでしっかりと聞いてください」


「……失礼いたしました。オリビエさん光属性は……」


ラーリアはオリビエと光属性魔法についての話をしている。


すると……手持無沙汰の僕にロムリスが話を振った。


「……ティエラリア様は私と同じ無属性魔法師でしたよね。決闘時の動きが完璧で……その素晴らしいと思います」


どういう意見だ?


「ロムリス様の足元にも及びませんが……」


「いいえ、私と特訓すれば、かなり良いところまで行くと思います。身体能力も他の生徒達と比べて優れていますし、一瞬の判断力もある。無属性魔法師として申し分ないくらいの才能をお持ちです」


やけに僕のことを褒めるな……


「いかがでしょうかティエラリア様。私と特訓に励むのは手取り足取り教えますよ。一回でいいです。まず、特訓しましょう、体術面の伸びしろがありますから! はぁ……はぁ……やりましょう!」


ロムリスの目が血走っていた。


「え、えっと……」


「ロム。それぐらいにしなさい。ティエラリアさんが驚いてざますザウルス」


そこでラーリアが助け舟を出した。


「あ、失礼いたしました。ご検討の方をお願いします。ティエラリア様。もちろん無償で引き受けます。むしろこちらが払いたいくらいです」


「すみませんティエラリアさん。ロムは下級生に自分と同じ優秀な無属性魔法師が入ってきたことを喜んでいるのです。可愛い後輩が出来て嬉しいのでざますザウルス」


「……あ、あぁ……そうです……ごめんなさいティエラリア様……」


ロムリスは顔を真っ赤にしていた。なるほど、そういうことだったのか……ロムリス・アルバリア意外と可愛いところがあるのだな。死ぬほど迷惑だけど。


「あはは……お気持ちだけ受け取っておきます」


愛想笑いを浮かべる。


「良いな……ロムリス先輩。私もティアちゃんと同じ無属性魔法師なら……一緒に特訓できたのに……」


「「!」」


光属性魔法持ちが何を言っているんだ……誰もがうらやむ力だぞ。


恐らく本人は何の悪気もなく言っているのだろうが、誰がどう聞いたって嫌味にしか聞こえない。


「あ、あのオリビーちゃん。一応光属性も無属性魔法の部類に入っていますから。それも完全上位互換で……あって……」


その意味を理解したのか、謝罪するのであった。


「そ、そうだよね……皆さん失礼いたしました……」


☆☆☆お誘い


「ところでお二人共。一ヵ月後に行われる遠征をご存知ざますザウルス?」


「「課外学習ですか?」」


もちろん知っている。一ヵ月後に新入生と上級生で班を組み、学院外へ出て共和国内で遠征が行われるのだ。


上級生との関係性を気付き上げるので、生徒同士の交流が増える。


それぞれに合った課題を講師が決めこなしていくこととなるのだが……この話の流れから察するに……


わたてくし達はお二人をチームにしたいと思います。実力も申し分がないですし、新入生の中でもお気に入りざますザウルス!」


「わ、私達が先輩方と……?」


まぁ、そうなるよな。


「はい。学院へ申請することで同じ班になることが可能です。ティエラリア様とオリビエ様さえよければなのですが……(チラッ)特にティエラリア様如何でしょうか(チラッ)」


ロムリスは強い視線を送ってくる。


「ティアちゃんはどうするの? 私は賛成だけど……」


「僕も同意見です。お二人と同じ班になれるなんてとても光栄です……(キラッ)」


笑顔を見せると二人は顔を赤らめた。


「はわわわ……ティエラリアさん……素晴らしいざますザウルス!」


「……控えめに言って最高ですね……ティエラリア様……笑顔も素敵です……」


「あはは……それではよろしくお願いいたします。ラーリア様。ロムリス様」


僕達はそれぞれと握手をする。


こうして僕達は一ヵ月後の課外学習にて行動を共にすることとなった。


……これも計画通りだ。


最初の任務は学院最強ラーリアとロムリスと繋がりを作ることであった。


課外活動のチームに入ることが出来た時点で任務は既に達成されただろう。


「安心してください。お二人とも! 私とロムの班に入れたということは、例え何があっても、無事に帰れるということでざますザウルス」


「ティエラリア様。私が絶対に守りますので安心してください。美しい体を絶対に傷つけたりしません」


だけど……なんだろう。僕の自意識過剰でなければよいのだけど……


なんか、この二人も僕に対する圧が強い気がする……


「私もティアちゃんを守ります!」


そして当然オリビーも……


「それではチーム名は『ざますザウルス』で良いざますザウルス?」


なんでチーム名をつけることになっているんだ?


「いいえ、ラリー様。名を『ティエラリア様を愛でる会』にしましょう」


「え?」


本当になんで?


「それが良いざますザウルスね! おーっほっほっほ!」


「私も賛同します。ここに集まった皆ティアちゃんの素晴らしさを理解していますから! 言わば同士です!」


こうして僕達のチーム名は『ティエラリアを愛でる会』になった。

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