猟銃と私(2)
猟銃を片手に取り、私は山に籠った。動物たちを狩ることもせずただ猟銃を握りしめて、山の息吹を感じているだけ。山にいると心が休まった。そして覚悟さえも決めさせてくれた。
次の仕事の1週間、毎日のように上司に脅されこき使われ、私の下半身はボロボロになって行くばかりだったが、私は上司に心も許した振りをして言った。
「あの」
「なんだよ」
「……誰にもバレない山奥で、1週間ふたりだけでヤりませんか」
「は?」
「……貴方のモノなしじゃ生きれないの」
アダルトビデオにも無さそうなクサイセリフを吐く自分に気持ち悪さが襲う。我慢してセリフを吐き続けていくと、上司は気持ちよくなったのか、嬉しそうに笑い行くと言った。
そして金曜日の夜が訪れた。私は上司に車を回してもらい、祖父との思い出の地に薄汚れたゴミ上司を連れてやってきた。
「ここです」
「電波通じねえじゃん。動画撮れないんだけど」
「ごめんなさい」
「はぁ。まぁいいや。生でいいんだろ?」
「はい。貴方の子どもを孕む準備は出来ています」
「シャワーあんの?」
「はい、こちらに」
「そ。俺先入るから」
「はい」
上司がシャワーに入り始め、シャワーの音が響いた瞬間、私は家の外へ飛び出て猟銃の管理をしている倉庫に向かった。そして猟銃を片手に、銃弾をポケットに突っ込み、私は家へ戻った。
「おい、おせえぞ」
「ごめんなさい」
「なにそれ、銃?」
「……」
「お、おい」
私は銃口を上司に向けた。女が牙を剥く時が来るなんて思いもしなかったのだろう。唇がガタガタと震え、醜い太った腹が揺れる。私はにこやかに彼に微笑んだ。
「散々人を好きにしてきた報いを受けて」
「や、やめろ!!」
撃ちはなった弾丸は上司の足を貫いた。燃えるような痛みなのか上司は転がり回る。気持ちよかった。
「ははははっ!!!!」
「や、やめてくれえええ!」
「私がやめろって言ってもやめなかったのに人には懇願するのか!」
「た、たのむ。謝る。金なら出す!!」
「金なんて今更興味無い。じゃあね」
私は逃げる上司の頭を思い切り踏みつけながら、引き金を引いた。上司の身体がブクブクと出る血。未だに苦しそうにもがく上司。早く息の根が止まらないかとゾクゾクしながら待っていると、家の鍵を閉め忘れたせいで、近所の住民が私の家に入ってくる。
「あ、あんたっ!!」
「おばちゃん久しぶり」
「な、なにしとるの!」
「……殺しちゃったあ」
「な、なんで!!」
「だってこの男が悪いんだよ。私をレイプするから」
「だからといって殺しちゃ……」
「うるさいなあ」
私の心のブレーキは止まることを知らなかった。口うるさいおばさんを撃ち抜いた。2人も殺してしまったが、罪悪感など微塵も感じなかった。
そして数日後、私の会社に警察が入ってくる。
「……あの?」
社長が警察を入口で止めた。だが私は社長の肩を叩き言った。
「おつかれさまです。逮捕令状ですよね」
「あなたは?」
「水口カナ」
「……そうか。あなたが」
「はい」
「警察署までご同行願います」
「はい」
社長はポカンと口を開けたまま突っ立っていた。私は笑顔で社長に言った。
「またね〜!!!」
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