無痛

「ど、どこ行くんですか?」


 車内には沢山の男が乗っていた。強面のガタイのいい人たちばかりで、不安になりながら、どこで降りるのか待っていると数時間車は止まることを知らず、山奥へ入っていった。


「え、あの」

「しー」


 口元にハンカチを当てられ、車から降ろされる。すると私の腕を後ろに回し、縄で縛る。あまりの怖さに叫ぼうとした時だった。


「はいはい。怖いねえ〜」


 そう言いながら彼は私の下着を脱がし始めた。叫ぼうとしてもハンカチを口の中に突っ込まれてしまい叫び声が遮断される形になってしまった。


「はいはい。いい子だからね〜」


 強面の男たちは地面にシートとベッドを用意して私を寝かせた。その後手錠で両手足を広げる形でかけられ、本当に身動きの取れない状態になってしまった。そしてその後は予想が容易なほどのことをされてしまった。


 事が終わったのは数時間後、夜だった。手錠を外されても私は身動きひとつ取れなかった。身体が疲れ切ってしまい、聴覚だけが生き残っていた。


「この子、本当に処女だよな」

「えぇ、あいつの話によるとそうですけど」

「痛がる素振りも無かったぞ」

「……まぁいいじゃないすか。気持ちいい想い出来ましたし、締まり良かったじゃないすか」

「まぁそうだけどよ。というか俺らめっちゃ汗かいたのに、この子汗かかなかったよな」

「まぁ、汗かきにくい体質なんじゃないすか? まぁそんなん気にせずはよズラかりましょ」

「あぁ」


 男たちは私を山に放置して、どこかへ消え去った。私は数時間寝転がりながら、山の木々から隠れて見える星空を眺めながら、地獄だった時間を忘れるように眠りについた。


 ☆☆☆


 翌朝の事だった。ぐっすりと眠ってしまっていたせいか服は男たちの白い液体のせいでカピカピな部分があり、汚かった。立ち上がり山を降りていくと見知らぬ土地に来ていた。


「……どこだろう。ここ」


 私は近くの交番に行く前にどうにかして服を着替えたいと考えた時だった。制服の内ポケットに何かが入っているように感じて手を忍び込ませると、お札が3枚入っていた。


「……1万円札」


 私はすぐさま服屋に入り、何も察されないように服を購入して逃げるように店外へ出た。そして私の元居た街に戻るようにタクシーを拾い戻った。


 昼の13時を過ぎていた。家付近にタクシーを止めてもらい、お金を支払った。

 玄関のドアを開けた瞬間だった。母は私を襲った男達と話し込んでいた。


「……え?」

「あら、おかえり」

「な、なんで」

「3万であんたの処女を売ったの。3万寄越しな」

「……使って、もう無いよ」

「はあ。クズね。ほら、ベッドに横になんな。3万稼げ!」

「お母さん……」

「チッ。これだからガキは。早くねっ転がれよ。もう処女捨てたんだからよ!」


 母は強引にベッドに押し倒してくる。そしてガタイのいい男たちは反り立った自分のモノを私の顔面に押し付けながら言った。


「怖くないからねー。1時間1万円だからさ〜」


 3時間拘束された。男たちはスッキリとした顔をしながら、母に3万を渡して帰って行った。その後母もにこやかな笑みを浮かべながら化粧をしてどこかへ行った。


 私は汚いものを流すようにシャワーを浴びた。

 午後18時を回った頃家のチャイムが鳴り、恐る恐る出ると担任の教師だった。


「……」

「おー、居たか。おはようさん」

「は、はい」

「これプリントな。大丈夫か?」

「え?」

「いや、具合悪いって聞いててな」

「はい。大丈夫です」

「お前、下着履いてなくないか?」

「え?」


 教師は突然気持ち悪い台詞を口にした。私は驚き戸惑ってしまうと、教師は強引に家の中に入り込んでくるなり、私をベッドに押し倒した。


「なあなあ。お前の母親に5万渡したらお前とセックスできるって聞いてなあ!」

「や、やめてよ」

「ふははっ。かわいいなあ!」


 父が亡くなったことをきっかけに私は最低の人生へと変貌した。好きでも無い男に抱かれ続けた。そんな生活が3年の月日を経った頃だった。


 私は交通事故に合った。全治5ヶ月と診断されたが私は身体に痛みもなく、むしろどこを怪我しているのか分からなかった。それを医者に伝えた時だった。


「……ごめんね。押すよ。痛い?」

「いいえ」

「おかしいな。今押したところは骨折部位なんだ。痛くないわけが無いんだ」

「……」

「無痛症って聞いたことあるかい?」

「いいえ」

「そうか。もしかしたらその可能性が高いな。調べてみよう」


 そして怪我の入院などの間に無痛症に関しても検査していくと、数週間後結果が出た。


「うん。無痛症だ」

「そうですか」

「……大丈夫かい?」

「え?」

「いや、うん。いいんだ」

「はい」


 入院生活が続く中、私は無痛症を試すように病院食を食べる中、運ばれてきたフォークで自分の腕を刺した。痛みはなかった。これが無痛症なんだと想い、痛みも感じない生活なんて嫌だと涙がこぼれ落ちてしまう。


 そんな中で母から手紙が届く。手紙を開くと1枚丸ごと使って書かれていたのは。


【死んでしまえ。痛みも感じない化け物め!】


 だった。

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