奪われる側

「よぉ?」

「あ、あんた」


 俺は探偵からの情報で義母の居場所を掴んだ。義母は東京の端っこの田舎に住んでいたようで、そこで仲睦まじく夜の店で出会った男と住んでいるとの事だった。そして今、俺は義母と相対していた。


「ミツコを産んでくれたお陰で、色々俺は狂わされた」

「な、何しに来たのよ。なんでここが分かったの?!」

「他人の力を借りると容易に探し出せたよ」

「何するつもり?!」


 俺は義母の大腿部の包丁を突き刺した。痛みから義母は床を転がった。


「ギャアギャアうるせえよ」


 部屋にあったガムテープで義母の口を塞ぐ。かなりの痛みからなのか大腿部を押さえつけて何とか血が止まらないかしている姿に興奮を覚えた。これが復讐への第1歩なんだと。


「あぁ、いい気分だァ」

「んんー!!!」


 俺はズボンと下着を脱いだ。俺の息子はとても反り上がっていた。痛みにもがく姿に興奮を覚えたのはこれが初めてで、ここで俺はS、サドなんだと気づく。


「ほらあ、動くなよ!」


 持ってきていた縄で両手を縛り上げ、足を思いっきり開かせた後に義母の下着を脱がして、襲った。


「んんんんんー!!!!」

「フハハハッ!!!」


 下半身の気持ちよさ、義母の苦しんだ顔にますます興奮度が上がる。最高の気分だった。そして自分が果てた後、俺は義母の首を思いっきり絞める。


「じゃあな」

「んんっっ……」


 俺は自分の手で義母を殺害した。その後証拠隠滅のために灯油を家に撒き、火をつけて燃やした。


 ☆☆☆


 後日義母が亡くなったことを受けて、様々なニュースが取り上げられたが、それも数日で終わりを告げて、警察が自殺と判断するという結果に終わった。


 俺は次に父親を狙った。探偵から受けた情報によると父親は以前俺の心優しき母と住んでいた北海道に住んでいるという話があり、俺は飛行機のチケットを取り直ぐさま北海道に飛んだ。数日は観光を楽しんだ。


「お兄さん美味しいよーどう?」

「焼きとうもろこし美味しそうですね」


 北海道の札幌市を代表とする公園で売られている焼きとうもろこしを頬張りながら、ゆったりと歩いていると見知らぬ老人が俺の肩を叩く。


「なんです?」

「お前さん菅原……かね?」

「えぇ」

「今回の件本当に残念だった」

「……申し訳ありません」

「あ、違うんだ。うん。違うんだ。責めてる訳ではなくて」

「いえ、私の実力不足ですよ」

「……たかが老人が言うことでは無いが、変な考えは起こすなよ」

「えぇ」


 見透かされていた。だが今更留まることなど出来ず、俺は老人にチップとして1000円を渡してその場を去った。


 そして決行の日。俺は父親の元へ向かった。心優しき母と住んでいた思い出の地を血で汚すことになるのは心苦しかったが、仕方なく家に踏み込んだ。


「親父」

「……!!!」

「……奥の人は?」

「ま、待て、落ち着け」


 父親が必死に隠す奥の人。父親を力強く押しのけて顔を覗いた時だった。


「母さん……?」

「……お、おかえり」


 父親は元嫁である、心優しき母と住んでいたのだ。俺は母にも裏切られてしまった気分に陥った。


「ふざけるなよ!!!」

「お、落ち着け!」

「俺を捨て、母を捨てたお前が、何故母さんと一緒に居るんだッ!!」

「落ち着け!!」


 俺はカバンの中から草刈り鎌を取り出す。


「や、やめろおお!!」


 俺は親父の首を掻っ切った。飛び散る血しぶきに母親は叫び声を上げようとしたが、俺は急いで口を塞ぐ。


「ただいま母さん」


 そう、俺は実の母をも犯した。あの義母の時のような手段を用いて。


「母さん、母さんっ」

「んんんっ」

「やっぱり実の母親だからかな。相性最高だねっ!!」

「んんんっっ」

「はあはあ」


 果てた後、俺は再び家を燃やした。思い出の数々を消し去るように。


 そして最後はミツコを狙う。そう考えて東京へひとっ飛びして帰った翌日の朝だった。ミツコ及び警察は俺の元へ来た。


「……?」

「菅原元大臣、菅原元大臣のふたりの元妻3名の殺害の容疑でお前を逮捕する」

「ははは、バレたか」

「あ、あんたねえ!!」

「ミツコ。お前が悪いんだよ」


 複数人の刑事に囲まれて、俺は取り調べ室に連れられる。


「お前が殺害したということで間違いは無いな」

「えぇ、間違いありません」

「動機はなんだ!」

「私はね、異常なほど歳上の女性に興奮するみたいでね、いやあ気持ちよかったなあ」

「何を言っている……?」

「僕は何も悪くない。ぼくちゃんはぼくちゃんはね、色々がまんしてたんだあ!」

「お、おい」


 何かが切れたように僕は自分が分からなくなった。その後精神鑑定にかけられた。そして裁判の日。


「……被告を有罪と処し、無期懲役とする」

「えーぼくちゃんわるくないのにい」

「……菅原さん」

「ぼく菅原じゃないよ。だいすけだもん!」

「だいすけくん、君は悪いことをしたんだ」

「えぇー?」


 僕の生涯は何だったのか分からないままに、僕は冷たい牢屋の中に居れられて生涯を牢屋の中で終えることとなった。


 ☆☆☆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る