番外編 浮気不倫
「ねえ、ヒロさん」
「あんだよ」
「……奥さんとはどう?」
俺は今の嫁を貰うまで彼女だった女と同じ会社で勤めていた。嫁にはちゃんと説明をしており、仕事なんだから割り切ればいいと言ってくれていた。だから転職することも無く真面目に仕事をこなしていた。
毎日のように過去の女に取り憑かれる毎日だったが、家に帰ると可愛くて美人で優しい嫁が待っていた。毎日のように俺を求めてくれた。
そんな数年後、俺に子どもが出来た。嫁と俺は産まれるまでの間一生懸命に汗水流し動いた。そして子どもが産まれた。それからのこと子どもに病気が発覚した。
仕方ないと割り切った。生まれ持ってしまったのはもうどうしようも無いからだ。
だがそれから、嫁は俺とセックスをしてくれなくなった。理由は下半身が痛いからという事だった。それが1年までは我慢できていた。嫁の身体を気遣うのは当たり前のことだからだ。
だが二年目を超えた時から、我慢の限界が訪れていた。毎日のように元彼女からベタつかれ俺は我慢ならず、そいつを抱いた。そこから浮気、不倫へ走ってしまった。
嫁への罪悪感など微塵もなかった。そしてその女に愚痴をこぼしていた。
「病気持った子ども産まれちゃってよ」
「……ならそんな子ども捨てて私と付き合おうよ」
「え?」
「毎日セックスさせたげるし。ピル飲むから子ども産まれないようにする。出来ないようにするよ」
「……あはは。考えとくよ」
最初は有耶無耶な返事をしたが、後日から毎日のように答えを求められた。
その答えを出したのは1週間後のことだった。
「俺お前と付き合うよ」
「ほんとっ?!」
「あぁ。大好きだ」
「私もっ!!」
だがそれがバレるのも時間の問題だった。
☆☆☆
「バレてんだからッ!!!」
嫁から告げられた不倫バレ、そして突きつけられた離婚届。
あまりにも腹が立ち首を絞めて殺してやろうとした時、警察が来た。チラッと見ると、嫁のスマートフォンは電話中になっており、110と見慣れた数字があった。
「辞めなさいッ!!」
「……やだなぁ。何もしてませんよ」
「とりあえず事情聞くから」
全て事情を聞かれ、たんたんと事が進んだ。あっという間に裁判が行われ、俺は慰謝料と毎月の養育費を払うよう命じられた。それだけならまだ良かったが、俺は彼女と強制的に別れさせられた挙句、彼女は両親に勘当され、会社でも左遷が命じられ本当に離れ離れとなった。
両親からは一生罵倒された。
怒りから実の子どもの誕生日。必ずどこかに外食しに行っていると考え、俺は車を走らせた。そして俺は見つけ出した。
「死んでしまえ!!」
思いっきり轢いた。
☆☆☆
「テメェ、喧嘩売ってんのか」
「あ?」
今は獄中に居る。浮気や不倫でここまで人生が狂わされると思っていなかった。そして獄中で知ったのは自分の実の子どもがイジメによって自殺したこと、そして俺の元嫁が死んだことだった。
俺の両親からの手紙だった。
【お前のせいで、俺の孫も俺の義理の娘も死んだ。お前が全てを狂わしたんだ。罪を償っても終わると思うな。俺がお前を殺してやる!】
そう書かれていた。実の親から向けられる殺意に、自分のやらかした事の大きさを理解した。
【一度のミスで全てを失う】
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