番外編 残された者

「ユウキ……」


 ユウキくんの母と私と私の母、そして親戚さんが集まる葬儀場。死が早すぎたユウキの弔いを行っていた。


 ユウキくんの母親はだいぶ心労が溜まっているのか顔色も悪く今にも倒れそうな程だった。ユウキくんが亡くなってから泣きすぎて枯れたはずの涙は止まることを知らない。当人の母親の気持ちは計り知れない。私は泣いては行けない。そう決めていた。


「……アオイちゃん」


 ユウキくんの母親から声をかけられる。ドキッとした。何か怖いことを言われるんじゃないかと。


「こ、この度はご愁傷さまでした……」

「アオイちゃん。ありがとね」

「え……?」

「ユウキと沢山遊んでくれて……」

「そ、そんな私なんてユウキがいじめられてるなんて知らなくて!!」

「いいのよ。もういいの」


 そう、私はユウキくんが亡くなってからうつ病になった経緯などを知った。事情を知るには遅かった。私から離れていった時点で聞くべきだった。判断の迷いが大事なものを失うことになった。


 私は自分が情けなくなった。


 ユウキのことが大好きで大好きでたまらなかったのに。


 ねえ、ユウキ。残された人はどうすればいいの。私あなた以上に好きになる人なんていないよ。


 そう言うが遅すぎた。全てが。


 ユウキくんの母親を目の前にして泣くな、泣くなと自己暗示すると、肩に手を置いてユウキくんの母親は言った。


「泣いていいのよ。私に遠慮しているのか分からないけど」

「わ、私がいち早くユウキのイジメに気づいてたらユウキは今頃」

「我慢なんてしなくていいの。悲しいもの」

「で、でも私は」

「自分を責めないで。気づけなかった私の責任なのよ」

「ユウキママは悪くないよ!!!」

「アオイちゃん」

「う、うぅ。うわああああん」


 私は葬儀場で大号泣した。あまりの泣きように周りは心底心配したのか私を外へ連れ出し、車に乗せてくれた。落ち着くまで。


 そこからの記憶はない。


 ☆☆☆


 〜数年後〜


 ユウキくんの母親は周りの支えもあって何とか生きてはいたものの、失くした物の大きさが残酷な程にのしかかったのか、私が中学卒業後、ユウキくんと同じ方法で自殺をし、亡くなった。


 そんな私は今は大学四年生になっていた。今まで数々の人に告白をされたがすべて断った。理由は簡単。


 ユウキが好きだから。


 ねえ、ユウキ。もう一度言わせて。


 残された者はどうすればいいの?

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