編集済
前回のコメントにおいて不適切で誤解を招く表現を使用し、正確な意図が伝わっていなかったので補足いたします。
まず、声に出して読んだ際の息継ぎに近いという表現は不適切であったとお詫び申し上げます。息継ぎが重要ではなく声に出したという方が所感の主体となってきます。文章における言葉の扱いと声における言葉の扱いの違いを指したかった次第です。発声に際して息継ぎは当然の事ですが、間のとり方や抑揚等の表現があります。
例えば、
彼は野球選手です。
彼は二刀流です。
この文章は文章としては見た場合、主語と述語から成る最も簡素な作りの文です。
これを発音主体の人が見た場合、読点が無くとも自然と文章のリズムというべきものを掴めると思います。実際に発声するとして棒読みになることはないと思います。「は」の部分で少しだけ伸ばたり、間をおいたりするかと思います。
そして、
彼は野球選手です。
彼は、二刀流です。
この文章を発声主体に考えている人間はあまり違和感を感じないかもしれません、読点を強めの間程度に感じると推測します。
しかし、文章として見た場合は大きな違和感を与える文章となっています。簡潔に主語と述語で形成されたはずの文がわざわざ主語、述語と読点で切り離しているからです。「彼は野球選手です」と主語述語の綺麗な文に続く為、なお目に付きます。ですが、この主語述語をあえて切り離す事により、述語が際立ちます。例文では二刀流という言葉が強調されます。
以上述べた様に文章としてみた文章(文法を重んじた文)と発音を考慮もしくは準じた文章では特性が異なります。
人によってどちらの文を好むかは異なり、互いが互いの文に違和感を感じたり、慣れていないと読みにくいという可能性がある程度でどちらが良い悪いではないです。また、文法文章と発声文章は完全に切り離される訳ではなく多少ならず混在してしまうと思います。その比率は自由で良いと私は考えます。
文章のリズ厶と言う物は、句読点や接続語及び助詞等の並びといった複数の要素により大きく変化しますが割愛します。
前回のコメントとしましては、伊草いずく様の文章は発声を主体とした文章に感じたとお伝えしたかった次第です。私がコメント内で不正確な表現をして不十分な感想となり、余計な混乱を招いた事は重ねてお詫び申し上げます。
伊草いずく様の文章は意味を区切る等の一般的な句読点の打ち方に加えて、無くても良いがあると後ろの文もしくは単語を強調する読点、体言止めから続ける為の読点、修飾が多いために挟まれる読点、短文の連続といった具合で句読点の利用率は高いです。また、一文が短い傾向があり、上記の傾向含めて句読点の利用率が高くなっていると推測しました。
情報量が多いのも目に付きます。修飾などのあっても無くても意味は伝わる文が多用されがちです。
以前のコメントで申し上げました通り、これらは雰囲気作りに貢献しています。どこをどの程度というのはご自身の感性に従って下さい。
読みやすさを意識する場合、私の個人的意見としましては足し算よりも引き算の方が上手くいくと思っています。日本語は簡潔さが美しさ読みやすさに繋がりやすいと考えています(谷崎潤一郎の影響)。また、文字の置き換えなどにより文を整える事や論理的構成も文のリズムを一定とし滑らかな文章の一端を担うと考えています(三島由紀夫の影響)。とどのつまり、私のようなド素人ではなく著名な文筆家の言葉から学ぶ方が良いという事です。
あとは、やはり本を読むというのが文章を改善する近道だと思います。単純に学習だけでなく、本読むことで一度自身の文から離れて客観的に判断しやすくなると考えています。
ここからは身にならない個人的な思いの話となります。
伊草いずく様は確実にご自身の文体を持ってそれを適切に扱う技量も持ち合わせていると考えています。過去に言及して申し訳ないですが、ホロウライト以外の作品において綿密に文章を構成し、個性を抑えて適切な文体を使用して雰囲気を変える様は目にしております。素直に驚かされ、素晴らしいと感じました。
センスや技術はあると思いますのでご自身の感性や論理に従い、作成及び推敲を行えば必ず良いものが出来上がると信じております。
作者からの返信
うおお、なんという、なんというわかりやすくて誤解の余地の少ない説明!
そしてそこに続く建設的なご助言であられることか……!
ありがとうございます、ものすごく参考になります。
まずなのですが、こちらの解釈やそれを元にした話の転がし方などが問題で訂正のお手間を取らせてしまったこと、お詫びさせてくださいませ……!
このトピック、JUGULARRHAGEさんの示唆をあまり生産的でない方に転がしてしまったと反省していたのです
(結果的に別方向に抜けて、最新の近況ノートで書いたような話題に通じた感があり、まだしも良かったとは思ったところだったのですが、ともあれ……)。
それだけに今回のコメントで軌道修正して頂けたこと、感謝にたえません。とても嬉しいお言葉まで合わせて記してくださり、かなりグッときてしまっております。
これだけ的確に細密に分析し、齟齬なくわかりやすく言葉を繰る方に認めていただけたのは、とても染みます。
踏まえまして、特に二つ、持ち帰れそうだと感じました。
一つは「引き算」の選択肢を考えつつ書くことです。必須ではない修飾などの量、具体的に挙げてくださったことで自覚が進んだ“どのような句読点が多いか”の内訳情報、などのおかげで執筆時に調整する意識を当社比持てるようになったと感じます。
もう一つは引き算の選択肢を考えつつ読むことです。これは勧めて頂いたように名文にあたって磨いてみようと思いました。
当分は仕事と書くことだけで余暇が消えてしまうため、ひとまず今作は調整を意識しつつこのまま書き上げ、その後にインプットの時間を設けようと思います。
かえすがえす、ありがとうございます。ド素人、と仰られましたけれども、とても自分はそのようには思えません。
推奨いただいた通り美文名文の蓄積にあたるつもりではございますが、それはJUGULARRHAGEさんのご賢察に感じ入ったが故です。
まだ途中であるため、内容については言及しようがないところあるかと思われますが、他の項目に関してもご意見たまわれたらありがたく存じます。
精進しますので、見守っていただけましたらさいわいです。
私も以前は読点が多い方でした。
理由は息継ぎ箇所ではなくて、「誤読を防ぐため」ですね。
主観ですが、理系の書く文章は、読点が多くなりがちな気がします。
というか、卒論を書くときに「ここの文は二種類に意味が取れるから、読点を増やして一意に定めろ」と、先生に指導されたせいだと思います(笑)
今は読みやすさを重視して、「読点は二つまで。それ以上必要なら、文の方を分割する」と心がけるようにしています。
でも伊草さんの文章は、読点と体言止めとルビの多用が、良い意味でクセになっている気がするんですよね。
ただその真価は戦闘パートでこそ発揮されると思うので、もし読みやすさを気になさるなら、日常パート側のクセをさらに抑えてみるのはアリかもしれません。
そうすることで、より一層戦闘パートの緊迫感を強調できるかも?
ゲームで例えるなら、BGMが戦闘曲に切り替わる感じです。
余談ですが、ホロウライトを読んでいる時、脳内映像はペルソナシリーズの絵柄とBGMで再生されています。
絶対に似合うと思うのです(笑)
長々と語ってしまってすみません!
何かの参考になれば幸いです。
作者からの返信
ヒョアーッありがとうございます!
これは染みまくります……!
誤読を防ぐ、まさしく。
確かにその意図でやっているところもかなりありました(ということを言われてはじめてハッキリ意識できました)!
しかしそれだけでなく、というご意見頂けたのは嬉しいなあ。
読点、「入れるのはひとつまで、ふたつになりそうな時はなるべく分割するくらいでやっている」という方の基準を参考に一度調整してたんですが、それを三版ではゆるめてみていて。
このことを踏まえると、日常パートを調整しにかかる時の方針がかなり具体的に見えてきた感じがします。
今日か明日くらいにもう一つこれの関連記事をまとめたいと思っているので、もし大丈夫そうでしたらワニさんのお知恵とセンス、貸してやってくださいませ。
あと余談! なんですかその嬉しすぎるお話! 聞く側垂涎のやつじゃないですか! もっと下さいもっとグワーッ!
朝から幸せになりました。ほんと、コメント寄せてくださって大感謝です。
編集済
興味深いですね。読点の打ち方には作者の癖がけっこう出るかなと思っています。私もきっと、そうでしょう。私は、客観的に読みやすくするために、wordで読み上げたのを(文章を読まずに)耳だけで聴き、わかりづらいなと思ったところには、読点を入れるという方法をとっています。
作者からの返信
あります! オレンジさんの読点、個性と癖の調和が感じられつつ全体としては少なめと勝手に思っております。一般には多いのかもしれませんが、「リーダビリティに配慮して打ってるのに多すぎはしない塩梅」と言いますか。
「読点の少なさ」って、読者への信頼がなくては達成できないものだと考えてて。
その点ではオレンジさんの、さばけているというか、風通しのよいドライな感じの反映なのではないかなと。