第4話

 俺は過去に、事故で妹を失った。だから余計に生きるということの幸せを感じるのである。同時に、俺は妹の人生を背負っているのだと思う。

 妹の分まで、幸せに充実した人生でなくてはいけないんだ。


「お、チュウチュウタイム。いいですねぇ」

 俺が真面目なことを考えているというのに、鮫島が冷やかして来た。俺がエネルギーゼリーを飲んでいることを冷やかしているようだ。

「お前はねずみか」

 呆れてつっこんでみたけど、鮫島はそれを華麗に交わして、

「にしても、ストイックですねぇ。夜遅くまで自主練だなんて」

 と言ってきた。

 そういう鮫島も俺が練習終えるまで、自主練してたくせに。

「遅くまでありがとな。練習、付き合ってくれて」

 俺は部室に置いてある麦茶をコップに注いで、鮫島に渡した。

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