第99話 隠れステータス
「〝エメラルドレイブンクロー〟という名前があの子の正式名称みたいです。私も〝召喚魔法〟を習得出来ました」
女子チームのレベルアップも無事に完了した翌日の夜。
いつもの会議室でアオバが言った。
やはりあのカラスの魔物は〝召喚精霊〟で、契約出来た。
そして
勿論他のメンバーからは召喚魔法習得の報告は無い。誰も契約してないから当然だよね。
「コウさんも習得出来たんですよね?
となるとやはり召喚魔法は、召喚精霊を見つけて契約しないと覚えられないという事で良いでしょうか?」
「でも他にも方法があるかも知れないよ?」
「あるかな? 例えば?」
「うーん、それは・・・・・・分かんないや。でもなんかありそうじゃない?」
アオバとマシロが召喚魔法の覚え方について話合っているが、暫定としてアオバの言う通りで良いだろう。
他にあるか調べるのは、既に覚えた俺とアオバでは無く、覚えていない人の役割だ。
俺たちにはもう、習得方法は調べようがない。
「それを発見したら教えるがこの集まりの趣旨だからね、見つけたら教えておくれ。
それまでは既に判明してるこの方法で、協力するとしようか」
「アキノは、契約する前にあのカラスが召喚精霊だって分かったのよね? アオバも分かるようになったの?」
「今の所何も感じない、かな? コウさんはどうですか?」
「連れて来てないし、此処では俺も何も感じないね。どこにいるかが分かる、とかではないと思う。
次のを見つけてみないと何とも言えないけど、何か感じたら教えるよ」
「ん、よろしく。次はわたしが見つけて契約したいわ」
身体の前で腕を組んだリサリサが言う。腕の上に胸が乗ってるのが凄いな。
彼女は、魔法習得が遅れ気味だ。今回習得出来た魔法スキルはゼロ。
それもあってか、召喚魔法には意欲的だ。
元々前衛、というか刀術一辺倒だったからね。魔法を覚える事にも随分、葛藤していたくらいだ。
ござるが合流してスキル習得の話をしたときに、最後まで返事をせず微妙な顔をしてたのがこいつだ。
サムライとして生きたいんだそうだが、俺にはよくわからん。
最終的に魔法を覚えると戦闘系のステータスに補正が付く、という事を教えたら渋々やる事にした感じだが、その分出遅れている。
別に覚えても使いたく無きゃ、戦闘で使わなければ良いだけなんだけどね。
出来ないという事と、やらないという事は全然違う事だ。
ステータスに影響あるから一応覚えとけばって話なだけ。
主義主張、やりかたは自由。そこまでは干渉しない。
こだわりも大事だと思うけど妥協も大事だと思うよ、俺は。
今はやると言ってるから良いんだけどさ。
それもあってか、彼女は今回魔法を何も覚えられなかったようだが。
魔法系スキルの素養は何も無いそうなので、仕方が無い。無いなら無いでコツコツやるしかない。
ナグモも似た感じだが、彼は今回いくつか魔法スキルを得ている。
リサリサも今回、前衛系のステータスアップ系スキルは得ているので地道にやってれば問題は無いと思う。
同じパーティのサユリんは、元々が魔法系スキルが多いスキル取りだ。
それに生前薙刀をやっていた事もあって、〝槍術〟〝棒術〟を習得した。
ステータスアップ系のスキルも複数得ていて、出だしは順調だ。
もう一人、同パーティのござるだが〝棒術〟は得たが〝槍術〟は得られず。
代わりにステータスアップ系をいくつかと、〝火魔法〟〝火耐性〟〝鍛冶術〟〝熱耐性〟とかなり上出来な感じで来ている。それでリサリサに軽く当たられていた。
俺も〝熱耐性〟は得たが、〝火耐性〟は習得出来なかった。
なのでリサリサと一緒にござるにやつ当たりしようと思ったが、逆に2人に反撃を喰らってしまった。
「あんたはもっと一杯スキル持ってるでしょうがー!!」 だって、解せぬ。
一杯あっても、無いスキルは羨ましいんだい。
ちなみに火魔法の練習をしてるときに失敗して、自分を焼いたからじゃないかとござるは予想していた。
「コウさん、だからって自分を自分で焼いたりしないでくださいね」
「・・・・・・ シナイヨ」
ござるが自分で自分を焼いて覚えたんなら、俺もやるしかないと思うんだけど。
先に釘を刺されてしまった。
別に誰も居ない所でやるば問題無いだろう。その為の回復魔法だし。
その回復魔法だが、回復魔法として独立したスキル系統である。
レベル1で怪我を治す〝ヒール〟というスキルを覚える。
これが成長すると解毒とか解麻痺などの状態異常回復を覚え、さらにレベルアップでハイヒールになるらしい。
俺は魔法を勝手に影魔法に決められていたので、他のスキルに比べると魔法の理解が後手に回っていた感じがある。
おかげで、こちらの世界に来た時はごっちゃになっていたが、聖魔法と回復魔法は別系統のスキルだ。
ただし聖魔法と回復魔法は相性が良く、一緒に覚える事が多い。
聖魔法のスキル 〝
これを進めていると一般的な教会系
アオバもこれだったし、おそらく道明寺菜桜とオークレディのサクマという人も同じスタイルだろう。
現地人にも多いタイプなので、
パーティに一人この専門職がいると安定する
ちなみにござるはちょっと違う。
あいつは魔法スキルの素養多めで、聖魔法は取っていなかった。
今日は得たスキルの報告と、これから得ようと考えているスキルの話を主にしている。
ここで問題になってきたのがこの聖魔法だ。
現在、持っているのは最初から所持していたアオバのみ。
いくつか訓練方法を試してみたが、今回誰も習得に至らなかった。
その上で新しい練習方法が思いつかないでいる。ネタ切れだ。
別に一つくらい覚えられないのならそれでも構わないのだが、なるべく取りこぼしは無くしたいとも思う訳で。
例えば 〝火魔法〟レベル1を所有している者が 〝耐久値上昇(小)レベル1〟 のスキルを所持している場合。
耐久値上昇(小)レベル1 で VIT+1 レベル2 で VIT+2 レベル3 で VIT+3 だが
さらに隠れステータスで
火魔法 レベル1 で VIT+1 レベル2 で VIT+2 レベル3 で VIT+3 となる。
現在 俺が 耐久値上昇(小)レベル3 火魔法レベル1 なので VIT+4 となり
ホクトが 耐久値上昇(小)レベル1 火魔法レベル2 で VIT+3 となっていて
マシロが 耐久値上昇(小)レベル1 火魔法レベル1 なので VIT+2 になっているだろう
という仮説がなりたっている。
この辺は俺単独では計算が出来なかったが、八人いることで割と正確な数字が弾きだせたんじゃないかと思う。
聖魔法、回復魔法共に隠れステータスはDEX なので 器用さ上昇(小)スキルがあればどちらも上がる。
アオバが 器用値上昇(小)レベル1 回復魔法レベル2 聖魔法レベル1 なので加算で+4という計算だと思う。
スキルの相性が良いという事は併用する事が多くなる。それはそれだけレベルが上がりやすいという事だ。
この隠れステータスは一つ一つは小さい。
だがステータスは総合値なので、最終的に影響がとても大きくなる。取りこぼすのは勿体ない。
例えば今回新たに得た斧術スキルは隠れステータスはMND(精神力値)だった。
槍術と短剣術・投擲術も同じくで、片手剣術はINT(魔力値)が上がる。
火魔法は VIT 水魔法は DEX 風魔法は STR 土魔法は AGI が上がり
影魔法は AGI と DEX の二つが上がっていた。
召喚魔法はなんと STR AGI VIT DEX と四つも上がっている。
俺はステータスアップ系は網羅しているが、アオバは筋力値と敏捷値のステータスアップ系スキルがない。
なので同じ召喚魔法を覚えても、その二つは上がっていない。
彼女はそれが次回への課題だ。
スキルの多い者がステータスを制するだろう。
勿論レベルも関わって来る。むしろ最初はレベルの方の影響が大きいだろう。
だが、レベルが上がらなくなった時にスキル数が響く。
騒動の時、チームジャパンの二人の腕力は大したことなく感じた。
どちらも後衛系のスタイルという事もあるが、俺より高レベルの筈なのに、だ。
後衛系のスキル取りなので、隠れステータスが表に出て来ていない可能性が高い。
アオバ、マシロ、リサリサに顕著にも出ているのだが、ステータスアップ系のスキルが無いからだ。
おそらく前衛としての行動をしないと前衛系のステータスアップ系スキルは得られないし、後衛系の行動をしないと後衛系のステータスアップ系スキルは得られない。
アオバとマシロは訓練はしているが、あまり前に出なかったし、リサリサは後衛向きの行動を今回しなかった。
各々のパーティで、今後行動する時に意識するように確認した。
ちなみに耐久値は例外で、全員が覚えている。なのでそれ以外に重点を置く事になった。
そんな事を話ながら、今後の課題を取り上げていく。
マシロ提案の『この集まりの名前を決めよう』とか『揃いの服で纏めよう』あたりはちょっと堪忍して欲しいけどな。
それでも一緒に行動しようと言わなくなっただけ、どっかの四人組よりもマシなんだが。
情報交換を始めた当初は毎度言われた。
断れば引っ込めるし、話は聞ける子なんだよ。
『この集まりの名前を決めよう』
→ 『自分たちのパーティの名前をお先にどうぞ』
『揃いの服で纏めよう』
→ 『それどこで手に入れる (。´・ω・)ん? ん?』
俺が何も言わなくてもこんな感じになって、勝手に論破されてるし。
名前は兎も角だが、服はそろそろ考えても良い頃合いではある。
〝裁縫〟はスキルがあった。これは確実に押さえておきたい。
服は作れなくても加工は出来るだろうし。補強に補修、ポケットを付けたりとかな。
何よりも〝錬金術〟のスキルで糸が作れる可能性があるのだ。
あったんだよ、資料が。ギルドの資料室に。
怪しいのがね。
材料に自分の血を使うんだけど。
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