第44話 訓練所
薬草の採取が終わり、冒険者ギルドで本日分の清算を終えるとクレアさんに強引に連れ込まる事になった。
訓練所にだけど。
ハイエルフとキャッハウフフなんて期待はしていなかったが、それにしても色気がねぇ。
一度行ってみたかったから別に良いけど。
剣術を鬼人族のレイシュアさんに教わっているが、片手剣術のみだ。
手持ち武器が短剣しかないので、短剣術を先に教わりたかったのだが
「そんなチマチマしたのは性に合わない」
と言って断られた。
なので冒険者ギルドの訓練所で短剣術を教われるなら使おう、と考えていたので確認の為に一度行っておきたかった。
訓練所へと向かう道を並んで歩きながら、訓練所の使い方を教えてもらう。
「冒険者ギルドは
いつ行ってもガラガラで誰も並んでいない強面の職員がいる受付もあるけどね。
きっとそこは触れないお約束だろう。俺は空気の読める子。
「たしかに何時も混んでいますもんね~」
何時もあそこだけは空いているので助かってるが。俺は待つのが嫌いだし。
並んでいるって理由だけで、行列の出来るラーメン屋には入らないくらいだ。
「訓練所も受付で利用する事を伝えて、登録してもらわないと入れないの。中の設備を使いたい場合は、その時にいっしょに予約する必要があるわ。
今後弓術の訓練を始めたら使う〝的〟を予約しないと練習にならないから、今日はその場所を確認して覚えておきなさい」
なるほど。確かに弓術なんて場所の確保が先だ。空間がそれなりに必要だ。
前世日本で弓道場は、殆どなかった。
多分都心部には皆無に近く、在っても駅から遠い場所とかくらいだろう。
バッティングセンターの方が多いくらいじゃないだろうか?
そのバッティングセンターもどんどん減っていたみたいだがな。
代わりに安定してあるのがゴルフ練習場だ。
日本の未来はどうなってしまうんだろう? なんて事は置いておいて、訓練所の設備を確認しておく、という訳ですね。
効率的で良いと思います。
感心する俺をよそにクレアさんの説明は続く。
「同じく〝教官〟に個人的にスキルや
ただ訓練をするだけなら予約は必要ないの。暇な教官が気が向けば指導をしてくれる場合もある。
だけどそれよりも踏む混んだ指導を受けたい場合は、報酬が必要」
ふむ、どうやらただでは教えてはくれないらしい。
違うか、暇なら教えてくれるという事は、表面的な事なら教えてくれるという事か。
例えるならパンチの撃ち方なら無料で軽くなら教えてくれる。
ただそれを敵に効かせる方法、上手く当てる撃ち方は金を払わなきゃ教えない。こんな感じかな?
そんなことより初めて聞く単語が混じってたぞ。そちらの方が気になった。
「クレアさん、質問です。
「『火魔法』なら〝ファイアーアロー〟
『弓術』 なら〝チャージアロー〟
『剣術』 なら〝バッシュ〟 と言ったモノよ」
なるほど、相変わらず教えるのが下手くそだ。良く分からん。
スキルの中にある技が
戦闘スキルとか魔法スキルじゃ駄目なのかね?
なんて疑問に思っていると、訓練所へと到着する。
その扉の脇にあるカードリーダーのような機械にクレアさんが冒険者証当てた。
すると扉が左右に開き、その間を通って中へと入っていく。
俺も一緒に入っちゃえば良いような気がする。
だがそれも言わないお約束だろう。そんな事を考えている間に扉が閉じた。
俺もカードリーダーに冒険者証を当てる、すると閉じた扉が再び開く。
入って来た俺を見て、中で待っていたクレアさんが言う。
「今日は試しに私と〝投擲術〟を習う予約をしておいたわ。
とりあえずどんなモノか経験してみなさい」
習うより慣れよ、ですか。
それは構わないんですけど、まさか自分が投擲術に興味を持ったからじゃないですよね???
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