第7話 設定②
スキルをどう買うか?
を考えると、悩んで思考がループしてしまう。なので先にスキルを全部確認しておく事にした。
元々確認しろって言われているしな。何のスキルが欲しいかをある程度絞っておいてから、買うスキルの数やレベルを決めるのも有りだろう。
そんな事を漠然と考えながら、スキルの説明文を読み進めていく。
だが文字列を目で追いながら考えても、やはり思考はまとまらなかった。
うーん、駄目だこりゃ。メモが欲しい。
いやー、やっぱりスキル数が百と五個は多いっスよシステムさん。
選べないって。
説明文も大した事は書いてなかった。
特に重要な情報は無いと思う。
というか敢えて簡単な書き方になっている気がする。
このスキルは何が出来る、という書き方ではなくこのスキルはこんな感じ、という漠然とした表記だった。
詳細は教えてくれない。これが読んだ俺の結論だ。
そしてもう一つ、気づいた事がある。
いくつか買えないスキルがある。選んでみたらいくつか、選べない選択肢があった。
選べないというか、正確には素養は買える。
素養までは買えるのだ。だがレベル1には出来ない、レベル1は買えないが正しい。
買えないのは
戦闘系なら『交差法』『連撃』『嗅覚察知』などと言ったいくつかのスキル。
魔法系なら『並行詠唱』『魔法合成』『魔力視』『空間魔法』とか心躍るスキルは勿論、『召喚魔法』『時空魔法』は勿論『氷魔法』と『雷魔法』も買えなかった。
対して生活系は特になし。全部買えてレベル1になるようだ。
例を挙げただけで買えないスキルは他にもいくつもある。特に魔法系は多い。
総じて強力そうなスキルが買えないといった感じになっている。
これは何か重要そうな気がしている。この謎が後に大きな影響するかも?
とは言ってもそれが何故かが分からない。謎ってほどの事もないだろうし。
確認は終わった。さて困ったな。
ではこれからどう動くか、だ。結局何も決まらなかった。
「ん~他に見落としが無いか、戻って見てみるか」
スキルの確認は終わった。百五種類全て。
俺頑張った。目が疲れた気がするが、多分気のせいかな。魂の状態だし。
でもちょっと飽きた。
とりあえずスキルについては頭には入ったと思う。多分。
隅から隅まではスキル選択のこの画面では完了している。
見落としは無いと思う。
婆さん女神はまだ戻って来ない。
ならばまだ時間はある筈だ。
スキルを確認した今こそ改めて、種族を見てみるか。今度はもう少し詳しく。
何か違う事に気づくかも知れない。さっきは流し見だったしな。
そう決めたら BACK を選び、また BACK を選ぶ。ダブルバックだ。
最初の種族の選択画面へと戻った。
一応上から下まで画面を動かして確認するが、特に変わったところはないと思う。
減っている種族も無い。かと言って増えてもいないようだ。実は種族の数まで覚えていないけど。
「いくつか試してみるか・・・・・・どうせならさっき試して無い奴を」
獣人族はキリが無いので止めていたが、試すだけ試してみる事にした。
どうせ試すなら強そうな種族が良い。
という事で獅人族から金毛種という種族を。
うーん、黄金色の体毛がカッコイイ!! そしてゴツイ。
ワイルドでこういった雰囲気は結構好きだぞ、俺。
けど、タテガミがな・・・・・・
ライオン族だけあってそこは残るらしい。雄の特徴だしな。
まぁ特徴だしな。うーん。雌になるのもちょっとだし。多分なれないだろうけど。
気を切り替えて次は虎人族へ。
四種族ほどある中から白毛種を。多分ホワイトタイガーだろう。
おっ、これは!
あー・・・・・・
ちょっと日本人顔には合いませんね、って感じかな。
で、察してください。よし次に行こう。
何て脳内でツッコミながら他の種族も試して行く。
・・・・・・もう大体分かったからいいかな。
何種族が試した所でそう思った。
どの獣人族も複数種族の選択肢がある様子だが、獣人族の種類はちょっと分かりにくい。
角の数ぽかったり、多分身体の一部? の特徴っぽかったり、毛の色の違いだったりで何とか種って名前になっているようだ。
俺はそこまで動物の種類に詳しくない。
なので名前では察することが出来ない。うーん、獣人族はないかな。特に好きも嫌いもないし。
だからこだわりも無い。なので積極的になろうとも思えない。だが必要なら考える。
ただ一つ収穫があった。なので試して良かったとは思う。
どうやら種族も〝買う〟という話だったらしい。
獣人族の中から何とか種を選ぶと、画面中央上部の百万円の表示が減っていた。
どうやら金額の表示はスキルの時だけでは無かったようだ。
もしかしたら最初からあったのかも知れない。俺が気が付かなっただけで・・・・・・
うーん、俺とした事が。
気を取りなおして。
今度はエルフを選んで試しみた。エルフは3種類ある。
値段が高い種族が八十万円だ。次が七十万円。もう一つが六十万円だった。
エルフ高っか!
上の金額表示の所が一気に減ったよ。最初から値札付けとけっての。
種族の方は、一度選んで減った額から自分で計算してみないと分からない仕様のようだ。
それって糞仕様じゃねーか。スキルは金額表示あるのに・・・・・・意地悪いな、もぅ。
次はドワーフ。こちらは4種類。
六十万円、五十万円、四十万円、三十五万円だってさ。
最もドワーフは試してみただけだ。
俺の美意識的に樽体型はちょっと耐えられない。なので絶対に有り得ない。
これだったらエルフの方を選ぶ。
獣人族はちょっと複雑だ。
サイズが大きい動物が高くなっているような感じもあるが、それだけじゃない部分もありそう。
多分希少性とか人気だろう。肉食動物も全体的に高めのような気がする。
値段の付け方は俺にはちょっと判断がつかない。
そーなると判断は値段以外での考えに寄ってくる。
と、なるとケモ耳ケモ尻尾は俺には必要が無い要素だ。
どちらも俺にとっては、愛でるモノ愛でたいモノであって自分の身体に生やしたいモノじゃない。
そして次に獣人族は結構高い比率で身体に模様が入っている。
これも引っかかる。
入れ墨でもタトゥーでも入れたい奴は好きにすれば良いと俺は思う。
でもどうせ入れるなら、自分の好みのモノを入れたいと俺は思う。
最初から勝手に入っているというのはちょっと違う。
もしかしたら次の容姿の選択肢で消せるかも知れないけど。
だが面倒だ。この仕様だと、消すのに金が掛かるかも知れない。だったらその手間と時間をスキルの方に回したい。
以上の事から考えてみると、一番無難なのは 〝均人族〟かな。
先ず大きく惹かれたのは金額だ。これだけはゼロ円なんだよね。何でだろ?
安い獣人族でも最低でも十万円から必要になる。
他の種族の外見にあまり魅力を感じない以上、ここは深く考えても仕方がない気がする。
容姿に使わない分のその金で、良さげなスキルを買おう。
という所で一つ確認しておくことを思いついた。
試した中で一番お高かった八十万円のエルフを選択。
そして次に進む。
最初はあまり考えず金額と容姿を種族事に比べていた。
今度はエルフ同士での違いをじっくり見ておこう。
・・・・・・ほう。同じエルフでも結構違うもんだ。
容姿は八十万円の方が、俺視点ではカッコイイ、かな?
六十万円のエルフよりも些か精悍で強そうに見える。
やはり値段が高い方が見た目も良くなるのだろうか?
んー、んんんん。とは言え美形すぎて引く事は変わらない。
仮に同じ日本人に見られたら「こいつ自意識過剰だな」とか「こいつ自分にエルフとか、似合ってるとでも思ってるのかよ?」とか思われそうな気がする。
というか正直、送られた先でエルフになった日本人を見たら俺がそう思うだろう。
なので無しの方針には変わらないのだが、もう一つだけ確認しておこう。
エルフさんは八十万円なので、残金は二十万円也。
これでスキルを買ってみようと思います。
正確には選んでみる、だけど。この外見でスキルを選んだ場合に、どの程度の強さになれるかを確認しておこう。
最後に決定、にはしないで戻るよ。
エルフにはしないって。ほんとだって。信じてくれ。格好良くてもスキルがショボいのはちょっとね。
容姿の変更はせずに次に進む。
と、そこには思わぬ変化ががががががが!
スキルの選択画面は〝 均人族 《ヒューム》〟の時と全く変わっていないのだが、既にスキルが自動で選ばれていた。
戦闘系と魔法系のスキルを多数所有しており、いくつかはレベル2になっている。
「こっ、これは!! なんてな」
どうやらスキル込みで八十万という値段だったらしい。
てっきり見た目だけ変えるのにそれだけの費用が掛かるのかと思っていた。てへぺろ。
とは言え考えてみればさすがにそれは無いか。
俺たち地球人を魔物を殺させる為に、あちらへと送るのだ。容姿だけを変えても意味がない。
もう一度確認の為に戻って他の値段のエルフを選び直しスキル購入画面に戻って来る。同じように自動でスキルが決定になっていたが、スキル構成は若干違った。
どうやら値段で、選ばれるスキルも変わってくるようだ。
ならばとまたまた戻り、次はドワーフを。そして別の値段のドワーフを選び直し確認する。
さらに戻って今度は獣人族を何種類か試す。
ふむ。どの種族の何種を選んでも、日本円が掛かる選択肢は全てスキル込みの値段のようだ。
数が多いので全てを試した訳ではないが、最初の所持スキルが無いのはおそらくゼロ円で選べる〝 均人族 《ヒューム》〟のみだ。
どの種族でも自動で最初から勝手に選ばれているスキルは、自分が選んで付けるレ点とは色が違い、こちらが外すことは出来なかった。
ここから考えられる事は、自分好みにする意味では〝
その分悩むんだけどー。
人によってはある程度形になってるならコレで良いやって人もいるだろうし。
正直俺もそのタイプだ。雛型でいいんだよ雛型で。基本のな。
拘りなんて二周目から発揮すれば良い。二周目は無いだろうけどな。
最も一回死んでる事を考えると、これから始めるのが二周目とも言える。
ちなみに自動選択で買うスキルは、見た中ではどれも最大でレベル2までしか取っていなかった。
これはレベル3は不要、という事なのだろうか?
勿論最初は、という意味でなんだが。
うーん。スペシャリスト、得意分野が光る用な尖ったスキル構成も嵌れば絶対に強い筈なんだが。
とは言ってもだ。
このスキル選択の場合、レベル4のスキルを買うには八十万円要る。
1エルフだぞ、いちエルフ。それも高い方の。八十万円のエルフのスキルレベルを4にすることは出来ない。
どこか一つのスキルを好みで尖らせるスキル構成が出来る。これも〝 均人族 《ヒューム》〟の特徴なのだろう。
それを踏まえてどうしようかという話なんだが・・・・・・悩むねぇ。
「ヒッヒッヒ、なんだいなんだい。お前さんはエルフになりたいのかい?」
いつの間にか戻って来た老婆の女神が俺の画面を覗き込んで言う。
いや、またお高いエルフに戻してスキル構成を見ていただけなんですけどね。
これと八十万円のスキルが同額ってどうなんだろうって思ってただけですよ?
なんだろう。何故かエルフスキーの性癖が暴露されてしまったような羞恥心に襲われた。
なんか、恥ずかしい。いや、愛でる方ならエルフは好きです。でもなりたい訳ではないのです。
でもそれをこのタイミングで老婆に言うのも・・・・・・ねぇ?
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