第16話 海外から宇宙へ
「すごい、本当に海外だ……」
「当然よ。この程度のこと、お茶の子さいさいなんだから」
それは未来で流行っている言葉なのだろうか。
僕は瀬都奈の妹ちゃん、凛ちゃんに頼んで空間移動してもらったのだった。僕とエデンと凛ちゃん。三人。正確には二人と一人。行き先は、その場所は、手探り。海外のどこか。あの第三世界、プレーン空間と現実世界が重なっているところ。そこを探して飛んだ。結果としてヨーロッパにやって来た。詳しい場所は例によって秘密事項である。
そのヨーロッパの街を歩いていると、規制線の張られた箇所が目立った。それはどれも石像の台座があり、そして石像は粉々に崩れているかの様子であった。ここだ。ここで間違いない。黒服の言っていた場所はおそらく、ここがその一つであることは間違いない。
僕はその周辺で公園を探した。それはすぐに見つかった。大きな公園だった。芝のある、大きな公園。そして見つけた。居た。
「やっぱり、お前はここにも居たんだな」
それは鳥の石像だった。大きくて、翼を広げれば二メートルはあるんじゃないかという、大きな石像の彫刻。この街でもそいつは公園に居て、そして動いていた。まるで誰かを待っていたかのように。その仕草は、お待ちしておりましたと言わんばかりに。
鳥は飛んだ。僕らは追いかけた。すると少し先に、噴水があった。もちろん周りには、その辺の空間だけが歪んで見えた。普通の人には見えない、干渉できない空間。そこに濃いプレーン空間がある。
「鎌倉健。あなたが道を開けてちょうだい。さすがの私でも、あの空間は干渉できない」
「わかった」
僕は空間に触れる。そして、大きな入り口を創った。みんなが入れるように。三人で入った瞬間、その瞬間だった。
そこは宇宙だった。振り返るとそこには誰も居ない。二人は来ていない、いや、来れなかったのか。ここは宇宙だけど、大丈夫。第三世界と繋がっている。プレーン空間の中だ。僕の創造力も働く。空気も吸える。
既にREIWAの機体が隣にあった。後ろをまた振り向くと、そこは地球だった。青くて、青くて蒼くて青い。機体の遥か向こうには。宇宙船が見える。戦闘機のような形から、円盤型の巨大なやつまで様々。そしてその先頭に、先頭を切って迫ってくるのが石像達だった。間違いない。地球から持ち出し、操っているのは彼らだ。彼らが何者かはわからない。今回もたぶん、最後までわからない。最期まで。でも戦わないといけないことくらいは、分かっている。あれが正義か悪かは分からないが、敵であることはわかる。今度は瀬都奈はいない。彼女のための戦いではない。ではなんのため? 世界のため? 地球の平和を守るため? さあ、なんだろうね。わからないけど、それでもやらないといけないことって、あるんじゃないかな。僕はそう思うよ。
「REIWA、起動」
僕は戦闘を開始した。たったひとりで、ひとりきりで戦うそんな戦い。でも、創造力ならこっちのほうが上だ。負けないよ、僕には彼女に認められた力があるからね。
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