幕間 遥か遠く。ポンコツ少女の思い出
幕間 ポンコツ少女の思い出
時は、数百年前にさかのぼり、舞台はリベルテ学級王国のとある教室にて。
「ローズブレイド!!いい加減目を開けるのです!!」
授業中、怖い先生の怒号が教室中に響き渡る。
あーあ、だから何度も起こしたのに。そんなことを起こされている少女の隣に座っている銅色の髪の少女、レニフィア・スイレーンは思う。
怒号が響き渡ったのち、居眠りをしている彼女の頭の上に大量の分厚い本が降り注ぐ。
「ばふぇっ」
情けない悲鳴を上げる少女の名を、リアリー・ローズブレイドという。ほぼ白に近い銀色の髪の毛がきらきらと輝いている彼女は、普段から少しお茶らけている印象を待たれがちだが、意外と打たれ弱い彼女である。
「いい加減に起きなさい。リー、その居眠り癖は良くないわよ。起こされて何回目?」
呆れたような物言いをするのは、リアリーの向かい側のお隣に座っているモシュネ・クラーク。日が透けて見えそうな金色の髪の毛を綺麗に結い上げているクールで厳しそうなイメージだが、懐に入れた相手にはとことん甘い。
つまるところ、レニフィア・リアリー・モシュネは仲良し三人組なのである。
「痛い……」
授業後、リアリーは3人とお昼を食べながら食堂で頭を摩りがらぼやいている。
残念ながらリアリーの
「魔法史と実技以外はそうやって寝てばかりなのはいけないわよ。この間だって、薬草楽で最下位だったでしょう」
モシュネがリアリーにそういうと、リアリーは気に留めないと笑いながら、「だって勉強してないも〜ん。そういうモシュネは一位だったくせに!」といった。
そう。この3人組、非常にバランスが良い。学業ではモシュネとレニフィアが各々の得意科目で一位を取り、魔法実技科目ではリアリーがすべてぶっちぎりで一位を網羅している。
「そういえば、魔法史はどうだったの?」
「300点満点中の120点!」
レニフィアの質問に元気よく答えるリアリー。
そして呆れた様に額に手をやりボヤいているモシュネ。
そして「おぉ!」と小さく拍手するレニフィア。
「いつも30点なのが、120点……ん?」
そういったモシュネも、彼女がここまで点数を上げてくるとは思わなかったのだろう。モシュネは今回の魔法史のらテストでは惜しくも3位となってしまい、一位の座をレニフィアと知らぬ誰かに奪われてしまい、悔しく思っていたところなので、リアリーに気を配る余裕など毛頭なかったのだ。まぁ、どうせいつも通りだと思っていたから。
「凄いわね。他もちゃんと勉強しなさい」
「ひん。厳しい。でも先生にも褒められたから次から勉強しよ〜」
「あ、今日リアリーの好きな先生に朝会ったよ」
「!?!?」
なにやら悲鳴を上げながら、喚き出すリアリー。
レニフィアは肩に手を置かれぶんぶんと身体を揺らされている。
「ちょっとぉ!?抜け駆けしないでよぉぉぉ!私も会いたかった!いーないーな。今日はどんな服だった!?どんなお話ししたのー!?」
「食事中に何してるの。どうせ次の授業が魔法史なのだから、今は諦めなさい」
リアリーはとある先生の熱烈なファンであり、この有様だ。レニフィアもモシュネも、時々ドン引きするくらいの。
「楽しいね!」
突然リアリーがそんな事を口に出し、2人は不思議に思いながら、リアリーの顔を見る。
「んふふ。なーんでもない!」
ポンコツ少女リアリーは心底愉快そうに笑っている。
これは、遠い昔の遠い夢であり過去のお話。
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