脳内殺人2
無名乃(活動停止)
BAN
彼は普通の人より感受性強く、繊細で敏感。モノや人から刺激を受けやすく、想像力豊かだった。
「ん」
音楽の代わりニュース速報を聴いていると夢中になり、横目で視界には入ったゲームセンターが気になった。後ろ歩きで数歩戻り、入り口前で立ち止まるとイヤホンを片方外し中へ。
「いらっしゃいませ」
笑顔で挨拶され、軽く頭を下げるも機材の音でうまく聞こえず何を言っているのか聞き取れなかった。なんだろ、と頭の中で考えつつ向かったのはUFOキャッチャーではなくシューティングゲーム。数年前までゲームが好きでよく遊んでいたが、今は見るのもヤるのも得意ではない。だが、今日は珍しく銃を手に取り、画面に映る自分と向き合う。
ゾンビを倒すだけの簡単なゲーム。
しかし、画面に映る自分に弾を撃つのが楽しくなり、脳内にとあるイメージが浮かぶ。
【隣の人の頭に銃を向け、引き金を引く自分の姿】
「ねぇ、俺もやっていい?」
運良く後ろで見ていたらしい二十代の男。見てられない、と銃を引き抜いた時――青年は視線を画面。手だけを男の頭に銃口を向けた。
機械音にさえ無視する大きな音。
それは、本物の銃声だった。
妙な音に話し声が止まり、ゲーム音が話し声のように鳴り語る。聞き慣れない音に店員が駆け寄ると【game over】となった赤い血まみれの画面。そして、頭を撃ち抜かれ倒れる男とブラリブラリと垂れ下がる
言葉を失い、青ざめる店員の後ろで青年はバスケのゲームをしながら蔭からこっそり見つめ笑う。
脳内殺人2 無名乃(活動停止) @yagen-h
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます